本研究で得られた研究成果は以下の通りである。確率密度関数全体の集合に無限次元多様体の構造を導入する既存研究のほとんどは数学の立場からのものであるが、まず代表的なOrlicz空間を用いるものとHilbert空間を用いるものについて検討し、統計学におけるセミパラメトリック推測理論を幾何学的に扱うための枠組みとしては不十分であることを示した。また、セミパラメトリック推測理論には、パラメータ汎関数の微分可能性や接空間といった、多様体に関連する概念がいくつか現れるが、それらを手掛かりとして、統計学的に意味のある無限次元多様体の構造を導入するにはどのようにしたらよいかについての指針を示した。
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