本研究では,次世代サイバーフィジカルシステムのキーコンポーネントとなる超低消費電力パワーマネジメント技術基盤の創出に向けた基礎検討を行った. パワーマネジメントシステムの高効率化・極低電圧化技術に関し,スイッチトキャパシタ型昇圧コンバータに,これまでに構築した極低電圧回路技術を適用し,回路評価を行った.極低電圧発振器,ドライバ回路,そしてスイッチトキャパシタ型昇圧回路を構成し,オンチップパワーマネジメントシステムの設計を行った.シミュレーション評価により,100mV入力に対して702.5mVの出力電圧を,45mV入力に対して295.1mVの出力電圧を得た.また,41mV以上の入力で6倍を超える昇圧を実現できる結果を得た. 微弱な環境エネルギーの高効率な昇圧制御を行うため,デジタル技術に基づく入力型/出力側MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御技術を構築し,その動作を確認した.MPPT制御方式に逐次比較アルゴリズムを採用し,環境エネルギー利用システム向けのMPPT技術の設計を行った.シミュレーション評価により,適切な動作点でハーベスタを動作させることができることを確認した. また,センサ応用アプリケーションの実現に向け,超低消費電力で動作するオンチップ温度センサの検討を行った.温度に比例する周波数生成に成功し,また0.5uWの低消費電力で動作することを確認した.さらに,時間計測を担うオンチップRTC(Real time clock)の動作を確認した.
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