研究課題/領域番号 |
19K11877
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
樋上 喜信 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (40304654)
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研究分担者 |
稲元 勉 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (10379513)
高橋 寛 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80226878)
王 森レイ 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (90735581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | LSIテスト / アダプティブ故障診断 / 故障辞書 / 組込み自己テスト / ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
令和元年度の研究の成果は主に2点に集約される. 1.アダプティブ故障診断における計算時間短縮のための圧縮故障辞書作成法の開発.システムが現場で稼働中に故障診断を行う,フィールド故障診断においては,限られた短い時間内で故障診断を行う必要があり,故障診断時間の短縮が求められている.そこで,テストパターンを印加して,回路の出力応答から故障位置を推定する過程で,候補として残っている故障に依存して,次に印加するテストパターンを決定するアダプティブ故障診断に着目し,故障診断時間を短縮する手法を開発した.この手法では,故障時の外部出力値を記憶した故障辞書において,外部出力値を圧縮することで,故障候補絞り込みの際の,値の比較のための計算時間を短縮することを実現した. 2.ニューラルネットワークを利用したBIST(組込み自己テスト)におけるテストパターン再生成法の開発.BISTとは,チップ上にテストパターン発生器,出力応答解析器を実装し,外部テスタなしで自律的にテストを行う手法である.テストパターン発生器として最も一般的に用いられているのは,LFSR(線形フィードバックシフトレジスタ)であり,LFSRによって疑似乱数パターンを発生することが可能である.本研究では,LFSRの代わりに,畳み込みニューラルネットワークを用いてテストパターンを発生させる手法を開発した.コンピュータ上のシミュレーション実験では,LFSRで発生したテストパターンと同程度の故障検出率を達成するテストパターンを発生させることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アダプティブ故障診断における故障診断時間短縮のため,令和元年度は,故障辞書に着目した手法の開発を行った.故障辞書を圧縮することによって,故障診断時間の短縮の効果が確認できた.また,ニューラルネットワークを用いたテストパターン再生成法も開発し,有効性が確認できた.したがって,本研究は,順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の成果では,故障診断性能については,十分検証ができておらず,ほとんどの場合には,故障診断性能を低下させずに,故障診断時間を短縮できているが,あらゆる場合において,故障診断性能が従来法よりも低下しないことを保証する必要があり,研究を進める.また,メモリ容量削減のため,故障辞書サイズを削減する手法の開発も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度の計算機実験は,現有設備により実施することができたため,計算機購入を先送りし,令和2年度以降の実験で必要な計算機性能を確定した後,購入することにした.また,新型コロナウィルス感染防止のため,年度末の学会発表中止などの予定変更のため,次年度使用額が生じた.
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