研究課題/領域番号 |
19K11878
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高橋 寛 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80226878)
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研究分担者 |
樋上 喜信 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (40304654)
王 森レイ 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (90735581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 信頼性強化設計法 / 組込み自己テスト / フィールドテスト / 認証方式 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,つながる車載システムやIoT環境でのエッジコンピューティングシステムなどが市場稼働時においても高信頼性を保証するために,非破壊で集積回路自身が自己テストによって故障の有無および真贋を識別する手法を信頼性強化設計法(Design For Trust: DFTr)として開発することである。 本研究では,次のことを明らかにしていくために中目標を設定している。中目標1:集積回路に対するフィールドテストのために故障検出強化技術を開発する。中目標2:メモリコンピューティングデバイスにおける故障状態警告技術を開発する。中目標3:テスト容易化技術を利用して集積回路の個体情報を獲得する真贋識別技術を開発する。 本年度は,中目標1に対して,これまで提案してきた可観測性を向上させる「故障検出強化フリップ」および可制御性を向上させるために「論理値を制御できるテスト容易化設計」を施す最適な位置を選択するアルゴリズムを新たに提案し,その有効性を評価した。 中目標2に対しては,フィールドテストにおける回路の内部状態の獲得技術に関して,文献調査を行った。「故障状態警告技術」としては,リングオシレーターを書き換え可能デバイス上に実装した。中目標3に対しては,つながるデバイスのセキュリティの強化のためにテスト容易化設計法(バンダリスキャンテスト)を安全に利用するための認証法を検討した。新たに,バンダリスキャンテストを遠隔で実施するために,稼働モードからテストモードに安全に遷移できるように外部とテストアクセス機構の間の認証法を実装する方向に研究の指針を拡張した。 本年度の研究成果として,3編の電気・電子・情報関係学会四国支部大会発表,1編の電子情報通信学会総合大会および1編のエレクトロニクス実装学会春季講演大会で発表を行った.また,エレクトロニクス実装学会学会誌に調査論文が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中目標1に関しての研究が進展し,これまでの研究成果を統合して,フィールドテスト向けの故障検出強化FFと制御ポイントを最適に配置するためのアルゴリズムを提案して,その有効性を評価した。さらに,研究の展開として次の二つの課題に関して検討した。①グラフ畳み込みニューラルネットワークを用いたテストポイント選定法の本研究では,回路の論理構造(ゲートと信号線)に基づいて有向グラフを作成し,各論理ゲートの出力信号線のテスト容易性(可制御性と可観測性)をグラフの各ノードの特徴データとして定義した。そして,回路と同じ規模のGCN モデルを学習させることで,論理ゲートの出力信号線が TP 挿入に適するか適しないかを分類した。 ②マルチサイクル機能動作による故障診断用テスト生成法では,検査対象回路の組合せ論理部分をパターン生成器として活用し,一つのスキャンインテストからマルチサイクル機能動作を行うことで故障診断用テストを生成する方法を提案した。 中目標2に対しては,新しい書き換え可能なデバイス上でのリングオシレータの作成法に関して検討を行い,それを実装した。 中目標3に対しては,文献調査において,バンダリスキャンテスト技術の標準的なテストアクセス機構(JTAG)をIoT環境のエッジデバイスで利用する際には,JTAG にセキュリティ対策を講じないと、悪意のある攻撃者がJTAG を介してデバイスを乗っ取り、インターネットを介して IoT システムに対する攻撃を行うことができることがわかった。JTAGにおいて,権限を持つユーザーのみに対してテストアクセスポートへアクセスを許可するアクセス制御方法が必要である。そこで,高知工科大学で研究されていた軽量な認証法であるSAS-Lというワンタイムパスワード認証方式に着目し,その提案者からの情報提供をうけて,軽量なJTAG 認証プロトコルを提案した。
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今後の研究の推進方策 |
中目標1:故障検出強化フリップフロップをもつマルチサイクルテストの開発(担当:王,樋上)これまでに提案した手法を統合した検査容易化設計法とその有効性を評価した実験結果に基づいて論文を作成し,それを投稿する。また,①グラフ畳み込みニューラルネットワークを用いたテストポイント選定法に関しては,グラフの構成や学習方法を検討し,故障検出率を向上できるテストポイントを識別できるプロトタイプを作成する。②マルチサイクル機能動作による故障診断用テスト生成法に関しては,サイクル毎に生成されるパターンを強制的に更新させる制御回路を含めて検討し,それらのプロトタイプを作成し,有効性を評価する計算機実験を実施する。これらの成果を研究会において報告する。 中目標2:メモリコンピューティングデバイスの故障状態警告技術の開発(担当:王,高橋故障状態を検知する仕組みとして「リングオシレータ」が有益であることがわかた。令和4年度は,商用のテスト設計ツールを利用して,リングオシレータベースの故障状態警告回路を設計し,その有効性を評価する。 中目標3:バンダリスキャンを活用した集積回路真贋識別技術の開発(担当:高橋)令和4年度は,軽量な軽量なJTAG 認証プロトコルを回路上で動作させるために必要な制御回路を商用のテスト設計ツールを利用して設計し,その有効性を評価する。セキュアなJTAG 環境において集積回路真贋識別技術として,チップの識別IDをフィールで読み出すことができる組込み自己テスト回路を検討する。その回路の機能を整理して,商用のテスト設計ツールを利用して,バンダリスキャンマスター機構として設計し,その有効性を評価する。これらの成果を研究会において報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナ感染症対策のため,国際会議,研究会や総合大会がオンライン開催となったため,成果発表や既存研究の動向調査なとのための出張費用が必要なくなったため.さらに,投稿した論文が採択されなかったため,出版費が必要なくなったため 使用計画:論文を現在修正中であり,それを投稿する計画であるため,その投稿費用および出版費用に使用する。また,令和3年度に,バンダリスキャンテストにおける認証方式に関する情報提供を得て,新たな研究展開が期待できるので,そのための学生謝金や学会発表費に使用する。
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