研究課題/領域番号 |
19K11879
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長名 保範 琉球大学, 工学部, 助教 (00532657)
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研究分担者 |
天野 英晴 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60175932)
中條 拓伯 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80217736)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | FPGA / 高速シリアルリンク / 並列システム / 高位合成 |
研究実績の概要 |
多数のCPUおよびFPGA、また FPGA 間を接続する高速シリアルリンクから構成されるFPGAクラスタのフレームワークを開発中である。昨年度までに、PCI Express および ARM 搭載型の FPGA SoC で基本的なシステムが動作するようになり、ソースコードを公開した。 しかし、従前のシステムでは FPGA 間の高速シリアルリンクに Xilinx 製の IP コア である Aurora 64B/66B を使用しており、これは他社製 FPGA では動作しないので、Intel 製 FPGA では FPGA 間の高速シリアルリンクを利用することができなかった。また、Intel では FPGA 間の高速シリアルリンク向けに SerialLite III IP コアを提供しているが、これは有償であり別途ライセンスが必要である。 そこで、本年度はまず、Xilinx Aurora 64B/66B 互換のシリアル通信コントローラを開発した。これは Xilinx だけでなく Intel の FPGA でも動作し、両社の FPGA で FPGA クラスタフレームワークが利用できる基盤が整った。これにより両社の FPGA が混在する環境も実現できる点は、本研究課題が目的としている計算システム以外にも、科学計測や産業システムなど、多くの実用システムで有効と考えられる。 また、本年度はRISC-VソフトコアプロセッサやRuby/Scalaによる高位合成系の開発も行った。現時点ではこのソフトコアプロセッサでFPGA計算能力そのものを担うことは想定していないが、FPGA ベンダに依存しないため、管理用プロセッサとして有効である。また、独自の高位合成系も、ソフトウェアからハードウェアまでを統合するアプリケーション開発環境を構築する上で重要な役割を果たす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリアルリンクのコントローラをオープンソースで新たに実装することができ、本研究課題のひとつの大きな柱であるベンダ非依存なフレームワークの開発、という点において大きな前進があった。このコントローラは商用IPコアを置き換えて使うことも可能であり、さまざまなFPGAベースのアーキテクチャ研究に応用可能であるという点でも大きな進歩であると考えている。 今年度はあまりアプリケーションに注力せず、シリアルリンク、RISC-V プロセッサなどのハードウェアコンポーネントと、高位合成ツールの開発に重点を置いた。高位合成ツールの進歩とノウハウの蓄積により、本研究課題のフレームワークに限らず、FPGAへのアプリケーションの実装は以前にくらべて容易になっているので、本研究課題としてはデモ用のアプリケーションの実装よりも、基礎的なハードウェアの高性能化に注力するほうが本質的であり、こちらに重心を移して進めていくのが適切と考えている。従って、デモ用のアプリケーションについてあまり進展はないが、研究課題全体としての進捗は適切かつ順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度が最終年度になるので、成果物の最終的な公開へ向けて研究を進めていく。現時点では Intel FPGA では部分再構成をサポートできておらず、まずこの点の解決を目指している。また、当初より市 PCI Express やシリアルリンクが高速化した FPGA 製品が多く出てきており、より高いバンド幅に対応できるような方策についても検討を行う。 成果物の公開にあたってはサンプルのアプリケーションなども必要であり、この点についてもこれまでの知見を生かして、ベンチマークの実施を含めて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の影響により出張ができなかったため、旅費を2021年度に繰り越した。2021年度の学会・研究打ち合わせ等で使用予定。
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