次世代車載ネットワークへの不正侵入を高速に検知する自己学習型システムの開発というテーマで,最終年度の2022年度は,研究の今後の更なる発展および研究成果の地元製造業への普及に向け主に以下の研究を行った. 1.当該システムの設計理論(モデル化と最適化法)の整理 研究の他分野への応用も含めた今後の更なる発展のために、単に一品物のシステムを開発して終わりではなく、一部機能をモデル化し、設計理論の整理を行った。具体的には、セキュアな部分については、最大非対称関数として、不正侵入の特徴データについてはインデックス生成関数および分類関数としてモデル化し、設計最適化に向け関数の性質・特徴分析を行った。分析により得られた性質・特徴に基づき関数を生成する手法も発見し、これにより、実データがなくとも対象分野の性質・特徴に応じた模擬データを自動生成できるようになり、他分野への応用研究が大幅に促進・加速できることを確認した。 2.研究成果の地域社会への還元に向けた取り組み これまでは論文発表にて研究成果の還元を行っていたが、直接的な還元を目指し、地元製造業(自動車関連企業)との共同研究に着手した。当該研究成果(自己学習型システムによるネットワーク不正侵入検知)の直接的な応用(外観検査・異常検出への応用)に留まらず、研究を通じて得られた技術も地元企業が抱える課題に展開し解決を図った。特に、当該研究ではシステムの性能を重視していたが、システム開発の過程で培ったアジャイル開発やユーザー中心設計の技術の方が地元製造業では有用であることがわかり、その技術を展開すべく様々な課題にチャレンジした。チャレンジした内容は、次年度の科研費申請へとつながり、無事、2023年度の採択へとつながった。
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