研究課題/領域番号 |
19K11890
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
木原 崇雄 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (10736458)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 直接RFサンプリング受信機 / 時間インターリーブA/D変換器 / デジタル補正 / ハーフバンドフィルタ |
研究実績の概要 |
昨年度に引き継き、65 nm CMOSプロセスで直接RFサンプリング受信機を構成する要素回路を設計した。 1. 時間インタリーブA/D変換器におけるミスマッチによるエイリアス信号と、3次非線形性による高調波・相互変調波をそれぞれ低減するデジタル回路をVerilog-HDLで設計した。必要なダイナミックレンジ(100 dB)が最も低消費電力が得られる演算として、24ビット浮動小数点とした。そして、これらをA/D変換器(昨年度に設計)に接続し、回路シミュレーションにより不要波の大きさを出力のノイズフロア近くまで小さくできることを確認した。 2. 帯域内外妨害波を減衰させるハーフバンドフィルタ(half-band filter)を設計した。それぞれの妨害波を減衰できるように2段構成とした。そして、フィルタの内部係数を8ビットとして、減衰量を確保しつつハードウェアのコスト(構成要素数)を下げた。MATLAB/Simulinkと回路シミュレーションでこれらのフィルタが正常に動作することを確認した。 3. すべてのデジタル回路をVerilog-HDLで設計し、回路シミュレーションで正常に動作することを確認した。 そして、これらを論理合成および配置配線し、Typ.条件でタイミング制約を満たし、消費電力が17.5 mWであった。 これらの研究成果を査読付き国際会議で論文(1件)として発表し、さらに国内の学会でも報告(1件)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書で令和2年度に目標とした項目(直接RFサンプリング受信機の設計)に関しては、計画通りに実行できた。しかし、デジタル回路の論理合成と配置配線の手順の構築に時間がかかり、当初の計画であった、そのチップを試作することができなかった。しかし、翌年度(令和3年度)に予定していたアナログ回路(A/D変換器)とデジタル回路のワンチップ化を前倒しで進めているので、研究計画全体としてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
直接RFサンプリング受信機のチップ試作に必要な検証と作業を終わらせて、試作請負会社に設計データを提出する。その後、チップの評価に必要な準備(評価ボードの作製と計測装置のレンタル)を行う。そして、それらの結果をまとめて、論文(国際会議および学術論文誌)を執筆し投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初の計画では、デジタル回路の設計データを令和2年度中に提出し、そのチップを試作・測定する予定であった。しかし、その設計と検証が間に合わなかったので、試作費用(物品費)と測定に関係する費用(その他)を執行することができなかった。 (使用計画) 現在、令和3年9月に受信機全体(A/D変換器とデジタル回路を含む)の設計データを試作請負会社に提出できるように研究を進めている。そのチップは令和3年11月に納品される予定である。したがって、今年度に執行できなかった予算(チップ試作・評価ボード・実装・測定機器)は令和3年11月以降に執行する。
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