研究課題
説明可能AIの一つである帰納論理プログラミング(ILP)は,正例と負例からなる訓練データからその訓練データを説明する仮説を探索する.仮説の探索過程では,候補仮説を生成し,正例を導出し,負例を導出しないか検査することを繰り返す.本研究では,この検査をSQLに変換し,GPU上でSQLを実行できるRDBMSで並列実行することによって高速化を実現した.ここで,RDBMSとのやりとりはオーバーヘッドが高く,並列化の効果が低減される場合があった.そこで,仮説探索が,その過程で現候補仮説に1リテラルだけを加え,評価関数の結果が最も高かった新しい候補仮説を生成する最良優先探索であることに着目し,評価関数の結果が上位の複数の候補仮説をまとめて検査することによって,RDBMS実行のオーバヘッドを低減する手法を提案し,6倍の高速化を実現した.また,候補仮説の生成過程を生成回数分の次元空間の1点とみなし,メタヒューリスティクスである群知能の一種の粒子群最適化(PSO)を適用することで,仮説の探索を,さらに2倍高速化することに成功した.これらのILPシステムの拡張と同時に,GPU実行におけるHost側のカーネル呼出しを互いに近接するようにコード移動し,隣り合った呼出し先のカーネルを合体させるとともに,呼出し自身も1つにまとめることによって,Host-GPU間の通信コストの低減を実現した.今後,これらの成果を適用した一つのシステムとして,国立がんセンターとの共同研究において,臨床データと遺伝子情報からがん発症後の予後や発がん予想するために実践的に活用する予定である.
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