本研究課題では,クラウドといった仮想環境上で,ファンクションの連携のための仕組みの検討,考察,実験を行い,その有効性を確認した.本研究で開発したファンクション連携機構,すなわちファンクションの割り当て,及びスケジューリングアルゴリズムであるSF-CUVにより,主に少ないコンテナインスタンス数,及び仮想マシン数で応答時間を最小化可能である知見を得た.有用性の検証では,シミュレーション及び実環境で実施し,いずれも既存手法よりも有効であることを確認した.さらに,ファンクション連携をICN上で拡張させたAutoICNを開発し,GitHubにて公開済みである.これらはFlow(https://github.com/ncl-teu/SFlow)やCN-SFCSim(https://github.com/ncl-teu/ncl_icn-sfcsim)として公開している.また,AutoICNはICN上での自律的なタスクスケジューリングアルゴリズムであり,その有用性は検証済みで,現在は,海外論文誌に投稿中である.当初の計画では,このICN上でのタスクスケジューリングまでであったが,予定よりも研究が進んだため,2021年度は,ICNだけでなくPeer-to-Peer(P2P)による分散DBであるIPFS(InterPlanetary File System)を用いた自律的なタスクスケジューリングの開発に着手した.代表者は既にIPFS上でのデータ検索機構の性能改善に成功しており,その仕組をこのタスクスケジューリングに組み込む場合の機能拡張を検討中である. したがって,今後のP2Pへの拡張という展望も得ており,本研究課題は意義のある成果を上げることができたものと考えている.
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