研究課題/領域番号 |
19K11912
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
石原 靖哲 南山大学, 理工学部, 教授 (00263434)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | データ交換 / 情報公開ポリシ― / 問合せ解像度 |
研究実績の概要 |
2019年度は,理論的検討として,以下の二点に関して研究を実施した. まず,情報交換手続きや情報公開ポリシーを表す問合せのクラスを,一般の連言問合せのクラスに拡張した.具体的には,予備検討時には自己結合のない連言問合せのみを対象としていたが,問合せに現れる関係名の対応を総当たり的にチェックすることで,対象問合せクラスを自己結合のある一般の連言問合せに拡張しても,ターゲット側公開ポリシーを計算可能であることを示した.今回の拡張により,関係インスタンス内で一部の値が重複するタプルの列挙を行うような問合せも対象にできるようになる. 次に,関係名の対応を総当たり的にチェックする処理をできるだけ高速に行うために,制約ソルバを利用する手法について検討した.具体的には,ターゲット側公開ポリシーの計算において,ソース側公開ポリシーと情報交換手続きを表す連言問合せそれぞれに対して適切に項を追加することで等価な問合せになるかを判定する必要がある.2019年度は,手始めとして,項を追加し終わった二つの連言問合せが等価かどうかを準同型定理に基づいて判定する際に,制約ソルバを利用できないか検討した.制約ソルバとしてはフリーで利用でき整数値も取り扱えるSugarを採用し,問合せが等価であるときかつそのときのみ充足可能となるようなSugar制約式の構成方針を与えた.しかし,現在の構成方針は,関係名の総当たり的な対応の一部をSugar制約式として与えないといけないため,さらなる検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年4月に,学内の競争的な研究費助成に応募したところ,採択された.この助成は単年度のものであったため,2019年度は本研究のエフォートを申請時の30%から15%程度に下げて実施した.その結果,申請時に計画していた実装と評価の着手は2020年度に遅らせることとし,2019年度は理論的検討を行うのみとした.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究のエフォートを30%は確保できる見込みである.さらに,2020年度と2021年度は,南山大学理工学研究科の大学院生1名の協力を得られることになった.主に実装と評価について担当してもらう予定である.現時点ではCOVID-19感染拡大の影響で,実装と評価に着手するのは困難な状況である.しかしその分,その大学院生とともに引き続き理論的検討を入念に行い,成果を今年度内に公表することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
上で述べたように,2019年度は本研究のエフォートを下げて実施した.その結果,実装と評価に着手する予定だったものを,2020年度に遅らせることにしたため,ワークステーションの購入も見送った.また,COVID-19感染拡大の影響で,年度末に計画していた情報収集のための旅費がすべて残ってしまった. 今年度はオンラインで開催される学会が多数あると予想される.交通費や宿泊費を使わずに参加費のみで海外での会議にも参加できるので,このことをふまえて情報収集のための旅費を有効に活用する.また,学生の定常的な登校が許される状況になれば直ちにワークステーションを購入し,実装と評価に着手する.
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