研究課題/領域番号 |
19K11913
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大西 淳 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (50160560)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語要求の検証 |
研究実績の概要 |
本研究では,日本語で書かれた要求文書の正しさを検証するための手法を開発し,手法に基づくシステムの開発を目的としているが,研究代表者らの既存研究において機能要求,使用性要求と応答性要求については,それらの抽出と検証手法を確立しており,2019年度は,信頼性要求,保守性要求,セキュリティ要求と使用性要求に着目し,それらの品質要求を抽出するためのキーワード群の設定と,設定したキーワード群の有効性について研究した.その結果,設定したキーワード群によって,着目した品質要求をもれなく抽出できることを確認したが,一方で品質要求ではない文を誤って抽出する場合があることも確認した.この抽出精度を高めるためには,文の動作主体が人間ではなく,システムであるかどうかを確認することが有効であると判明したため,2020年度では抽出手法を改良して精度の向上を図る. 次に,抽出した要求文ごとに,要求文を構成する動作概念を明らかにし,格構造を定義した.要求文によっては,「見積書の印刷を行う」のように本来の動作概念である「印刷する」が名詞化されている場合もあり,そのような表現でも本来の動作概念を正しく解析する手法を開発した. さらに,格構造で表された要求文について,完全性・無矛盾性・非曖昧性・冗長性の検証を行うが,非曖昧性以外は既存研究の成果が利用できることを確認した.非曖昧性の検証については,動作概念に依存するため,新たに個々の動作概念ごとに検証手法を開発した. 以上のように,2019年度は特定の品質要求の抽出手法と検証手法を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は日本語要求文書からの要求文の抽出手法と検証手法の確立を目指しており,ほぼ予定通りに進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に確立した手法のうち,要求文の抽出手法については,「研究実績の概要」で示したように一部を改善したうえで,要求文抽出手法のシステム化を進める.また,抽出した要求文を格構造に基づいて,内部表現に変換する手法と内部表現に対する検証手法についてもシステム化を進める. これらのシステム化については主に2020年度に進める予定である.最終年度である2021年度は具体的な要求文書に適用してのシステムの評価を行い,評価結果をもとに手法とシステムの拡張を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス拡大防止のため国内会議が一部キャンセルされ,会議出席のための旅費が執行できずに次年度使用額が生じたが,2020年度の国内旅費に合算して使用する予定である.
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