本研究課題では,IoT/M2M無線ネットワークにおいて発生する膨大な接続端末数に起因した無線チャネルのアクセス競合(複数端末の同時信号送信)を研究の対象とする.この課題の対応策である制限アクセスウインド(RAW)によるグループ基準チャネルアクセス制御(GMAC)では,適切な端末グループ化が重要課題となっている.本研究では, IoT端末が生成する通信トラヒック等の時間的あるいは地理的な偏在に着眼し,トラヒック偏在環境においても高性能なネットワーク性能を提供できる無線チャネルアクセス技術を確立することを目的とする. 2021年度は,端末偏在配置および通信トラヒック偏在に加え,端末伝送速度のマルチレート環境下での端末グループ化手法について研究を進めた.具体的には,この3つの不均一環境に適した端末グループ化方式として,前年度までの研究で得られた知見を踏まえ,端末伝送速度のマルチレート化に対応すべくエアタイムを端末グループ化の基準とする新たな端末グループ化方式の考案とその性能評価を実施した.方式考案は机上での理論検討により実施し,また,システム性能定量的評価は計算機シミュレーションにより実施した. その結果,本研究で新たに考案した端末グループ化手法は,2020年度までに開発した方式と比較して,同程度のシステム性能が得られることを明らかにした.成果は,国内学会にて公表されており,また,国際学会で公表および公表予定(掲載決定)である.
|