研究課題/領域番号 |
19K11924
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水本 旭洋 大阪大学, 情報科学研究科, 特任助教(常勤) (80780006)
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研究分担者 |
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40273396)
諏訪 博彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (70447580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワークエンゲージメント / IoT / モバイルヘルスケア / 働き方改革 / ユビキタスコンピューティング / スマートオフィス |
研究実績の概要 |
平成31年度は,研究項目A主観的なやる気評価指標の確立,研究項目Bやる気評価指標の収集・管理プラットフォームの構築の実現に向けて研究を実施した.研究項目Aに関しては,やる気評価指標を確立するため,慶應義塾大学 島津明人教授と議論を行い,ワークエンゲージメント(3項目),リカバリ経験(4項目),リカバリ状態(3項目),睡眠(3項目),感情(12項目)のパイロットアンケートを開発した.研究項目Bに関しては,プラットフォームの実現に向け,収集システムの設計を行うとともに,データ収集用のバックエンドシステムの構築を行った.収集用システムに関しては,まずは,スマートフォンによる収集を行うことに注力し,収集するデータと仕様を設計した.長期間収集することを想定し,ユーザの負担が大きくならないように,自動的に収集できるセンサデータを基本として,10秒程度の自撮り動画を収集するようにした.また,オフィスワーカの姿勢を継続して収集するセンシングチェアについて,姿勢推定モデルの改良を行った.
本年度では,上記のアンケートとシステムを用いて予備実験を行った.実験では,9人の修士学生より,動画,アンケート,センサデータを2週間収集した.アンケートは,項目に応じて,朝と夜に分けて行われ,動画に関しても朝起床時,夜就寝時に撮影した.朝は,主にリカバリに関して,夜は仕事へのエンゲージメントを想定している.データは現在分析中であるが,個人差や朝夜の差による傾向の変化がみられることを確認している.
本年度の成果の一部は,第26回社会情報システム学シンポジウム(2020年1月開催)で口頭発表を行うとともに,IEICE Transactions on Information and Systemsに採択されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年度では,研究項目A主観的なやる気評価指標の確立,研究項目Bやる気評価指標の収集・管理プラットフォームの構築を行うことを計画していた.
やる気評価指標の確立に関しては,当初の予定通りアンケート調査票を開発できた.しかしながら,プラットフォームの構築および予備実験データに対する分析に,当初の予定より時間が必要であったため,オフィスにおけるセンシングシステムの開発は,センシングチェアの姿勢推定モデルの構築のみにとどまっている.
上記の理由に加えて,コロナウイルスの影響により,当初予定していた民間企業での長期間の調査実験も行えていない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については,まず,平成31年度に収集したデータの分析を優先し,分析を自動的に行えるようシステム構築を行う.これと並行して,当初の計画通りに,やる気指標を推定するモデルを構築する.
進捗状況でも記載した通り,平成31年度中には,実際の環境で実験が行えなかったため,オフィスワーカを対象とした調査実験を実施し,モデルを再構築する必要がある.しかしながら,コロナウイルスの影響から,リモートワークが多くなっており,非常事態宣言が解除されたとはいえ,今後どうなるか未知数であるため,実際のオフィスに対して,システムを実装することが困難になる可能性がある. そのため,オフィスに実装するシステムの開発に関しては,社会の動向を見つつ,実施するかも含めて検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
オフィスにおけるセンシングシステムの開発遅延,および,コロナウイルスの影響により,本年度に実施する予定であった企業における調査実験を実施できなかったため,全体的に予算を繰越すことになった.次年度においては,実験謝金およびセンサデバイスの購入に充てる予定であるが,コロナウイルスの状況に応じて,修正が必要な可能性がある.
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