令和 4 年度では,まず,開発する人物探索アルゴリズムの実ネットワークにおける有効性を詳細に評価するために,令和 3 年度の実験で用いた以外のソーシャルネットワーク(アメリカの 100 大学に所属する学生や教職員から成る Facebook ネットワーク)や通信ネットワーク(Gnutella などの Peer-to-Peer ネットワーク)のトポロジデータを取得し,そのネットワークトポロジに対する性能評価を実施した.その結果,これらのネットワークに対しても開発する人物探索アルゴリズムが短い探索時間かつ狭い探索範囲で目標とする人物を発見できることを明らかにし,様々な実ネットワークに対しても有効に動作することを示した.また,実験を通じて効率的にアルゴリズムを動作させるためのパラメータ設定法を明らかにした.また,人物探索アルゴリズムの特性を調べる上で構築したスペクトラルグラフ理論やランダム行列理論に基づく解析法を他のアルゴリズム(テンポラルネットワークの異常検出法やグラフスペクトルの推定法)に応用することを検討した.そのため,本研究課題で開発した技術は,実用的な人物探索アルゴリズムの開発だけでなく,他のアルゴリズムの開発にも役立てられることを示した.これらの研究活動の成果を,電子情報通信学会の国内研究会(インターネットアーキテクチャ研究会およびコミュニエーションクオリティ研究会)や国際会議(IEEE COMPSAC 2022 および INCoS 2022)で発表した.
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