研究実績の概要 |
高速道路のサグ部手前において,プローブカーから収集する車両速度の時系列データを入力データとし数十秒後の車両速度をLSTMによる多変量短時間予測により予測する手法の特性評価を行った.評価方法は交通流シミュレーションによる. 特に,入力データの次元数が予測誤差に与える影響を評価した.車両速度予測の対象とする車両自身の時系列データのみを入力データとする場合を次元数n=1とし,速度予測の対象車両に加えてその前方1つの領域,2つの領域,..を走行する車両群それぞれの平均速度の時系列データも入力データとする場合をそれぞれn=2, n=3…とした. 車両速度の予測誤差については,RMSEを指標として評価した結果,n=0の場合と比較しn=1,n=2では予測誤差が大きく低減すること,n=1とn=2では予測誤差に大きな差がないことを明らかにした.また,n>0の場合,速度予測対象車両から見て近い位置からi番目の前方車両走行領域(i=1,2,…)と速度予測対象車両の車間時間の値(Thiと表記する)も予測誤差特性に影響がある.現在時刻と予測対象の時刻との時間差(Tdと表記する) とTh1を等しい値に設定した場合に予測誤差が最小となることを明らかにした.次に,予測された速度が閾値を下回ると減速制御を開始し渋滞の軽減を図る手法について,同様に入力データの次元数nが特性に与える影響を評価した n=0,1,2の3通りで評価した結果, n=2, n=1, n=0の順で平均速度の向上効果が高いことを明らかにした.n=1とn=2では上述の通りRMSEで評価される速度の予測誤差には差がなかったが,n=2はn=1と比較し,時速30km/hの非常に定速で走行する車両の比率が低くこれが平均速度向上に寄与することが確認された.
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