研究課題/領域番号 |
19K11931
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
萬代 雅希 上智大学, 理工学部, 教授 (90377713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エッジコンピューティング |
研究実績の概要 |
本研究では,質・量の両面で高度化するアプリケーションを実現するために,面的で詳細なネットワーク状態把握に基づく多層的なネットワークコンピューティング基盤技術を確立することを目的としている.初年度は,主として,高度な映像ストリーミング技術およびIoTアプリケーションのためのネットワークコンピューティング基盤に関する課題に取り組んだ. 高度な映像ストリーミングの実現に向けた課題としては,ユーザがヘッドマウントディスプレイを装着し360度仮想現実(VR)ストリーミングを自由な視点で視聴する360度VRストリーミングの高度化に関して検討を行った.球面状の1画面を複数のタイルと呼ばれる領域に分割し,数秒ごとに分割された複数品質のタイル状動画セグメントを,ネットワーク帯域およびユーザの視点情報に応じてHTTPにより適応的に要求するタイルベースのVRアダプティブストリーミング手法について検討を行った. IoTアプリケーションのためのネットワークコンピューティング基盤の実現に向けた課題としては,分散配置されたセンサデバイス等で取得された各種データをエッジノードが連携して必要なユーザに配送するエッジコンピューティングの一形態に関して検討を行った.複数のエッジノードが連携動作するネットワーク構成について検討し,ネットワークに流れるメッセージ数および各エッジノードにおける負荷,メッセージが配送されるまでの遅延時間について評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アプリケーション技術としてのVRストリーミングの基本手法を確立し,VRのストリーミングの視聴品質を決める要素について調査した.その上で,動画セグメント内およびセグメント間の各タイルの品質のばらつきがユーザの視聴品質に与える影響が大きいことに着目し,ユーザが次に視聴することが予想されるタイルとその周辺タイルの品質差が大きくなりすぎないように要求するタイル品質を定める手法を考案し,有効性を確認した.さらに,エッジコンピューティングのネットワーク構成についてIoTアプリケーションを想定した検討を行い,ネットワーク構成法と各種性能を評価した.おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,引き続きVR等の映像ストリーミング手法およびエッジノードが連携するアプリケーションに向けたネットワークコンピューティング基盤技術の検討を進める.映像ストリーミング手法に関しては,ネットワーク負荷とユーザの視聴品質をバランスさせる手法の確立を目指す.また,ネットワーク状態の把握法について基礎検討を進める.ネットワークのどこでどのような情報を取得するのかを考え,ユーザノードでのネットワーク状態把握や,ネットワークノードでのネットワーク状態の把握法について検討する.その上で,把握したネットワーク状態をアプリケーションで活用する手法について検討する.ユーザの視線情報,コンテンツの内容,ネットワークノードでのキャッシュやプリフェッチ,機械学習の活用等に関する検討も開始する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
現有の機器を補強し,消耗品の購入のみで実験環境の構築ができたことが挙げられる.また,すでに国際会議等に論文投稿しており,次年度以降,成果発表に必要な費用が必要になるためである.より計算資源が必要な実験を行うための計算機補強用の消耗品の購入と,論文投稿に必要な英文校正費用や研究成果発表に必要な費用等として使用することを計画している.
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