本研究では,質・量の両面で高度化するアプリケーションを実現するために,面的で詳細なネットワーク状態把握に基づく多層的なネットワークコンピューティング基盤技術を確立することを目的としている.最終年度では,高度な映像ストリーミング技術のためのネットワークコンピューティング基盤に関する課題に取り組んだ. 具体的には,主にライブストリーミングの高度化に関して検討を行なった.2次元映像をより小さな時間単位であるチャンクで送信する手法に関して,ユーザからサーバへの数秒単位の動画ファイルの送信要求のタイミングを制御することで,ネットワーク帯域予測精度の向上を図りつつ,動画の再生停止を低減する拡張手法について,より詳細の性能評価を実施し有効性を確認するとともに,システムの各種パラメータ設定の指針を明らかにした. 研究期間全体としては,IoT(モノのインターネット),360度仮想現実(VR)ストリーミング,複合現実,ライブストリーミング等のシステムを扱い,各種ネットワーク状況の把握に基づいたエッジでの情報処理を含むネットワークコンピューティング基盤技術の確立を目指した研究に取り組んだ.評価手法としては,計算機上でのシミュレーション実験に加えて,実機上に各種提案手法を実装することで,多面的にその実現性や実用性を検証し,その有用性を評価した.研究により得られた研究成果を学術論文誌,国際会議論文,国内学会,研究会等で発表した.
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