研究課題/領域番号 |
19K11937
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
湯 素華 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80395053)
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研究分担者 |
小花 貞夫 電気通信大学, 産学官連携センター, 特任教授 (60395043)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルチパス誤差 / チャネル状態情報 / 角度測定 / 歩行者測位 |
研究実績の概要 |
本研究では、歩行者と衛星間の距離における誤差(以降、マルチパス誤差)の相関性を調査・利用して歩行者におけるマルチパス誤差を推測して歩衛間距離を補正し、また、車両の移動による電波のDoppler効果を利用して歩車間の角度情報を計測して、歩車間距離・角度・補正した歩衛間距離を併用して歩行者の位置を高精度に算出する技術を検討する。主な業績は下記である。 マルチパス誤差の相関性の調査。3次元レイトレーシングシミュレーションツールを用いて都市部のシナリオを作成し、衛星から同じ場所への電波伝搬特性を模擬してマルチパス誤差の時間変化特性を調査し、短時間相関性(マルチパス誤差は増え続けるまたは下げ続けること)と周期性(ある時間がたってからマルチパス誤差が繰り返されること)があることを確認した。 Doppler効果を利用した歩車間の角度推測・測位。車両からの無線信号を、歩行者装置は複数のアンテナで受信する際、アンテナ間の位相差から電波到来角度を推測できるが、角度の空間分解能は受信機で使用するアンテナの数に依存するうえ、受信機の向きの影響も受ける。これらの制約をなくすために、複数のアンテナを使用せず、車両の移動により歩車間の距離変化を利用して、受信機で一つのアンテナが異なるタイミングで計測した車両からの信号の位相差から、歩車間の角度情報を推測する手法、および、それを用いた歩行者測位手法を検討した。シミュレーション評価により、その有効性を確認した。また、車両から歩行者への電波の周波数帯、歩車間距離、車車間通信における干渉、車両台数、車両位置における誤差などの影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進展している。具体的には、下記の4方面から研究を行っている。(1)衛星からの測位信号により算出された歩行者と衛星間(歩衛間)の距離におけるマルチパス誤差の時間変化に相関性があることを確認した。(2)車両をセンサとして収集したマルチパス誤差情報を利用して歩行者におけるマルチパス誤差を推測する技術を検討し始めた。(3)車両の移動による電波のDoppler効果を利用して歩車間の角度情報を計測する技術を検討・評価した。(4)測位精度を向上させるために必要となる情報を効率的にクラウドに収集し、歩行者に配信する技術を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
今まで、歩行者装置で角度推測・測位を行っていたが、やはりそれが歩行者装置のサイズの制限を受け、アンテナの数が限られている。今後、複数アンテナを搭載可能な車両側で歩行者の角度を計測することを検討し、複数アンテナを用いた性能のさらなる向上を図る。 また、歩行者と衛星との間の距離におけるマルチパス誤差の相関性を確認したが、今後さらにそれを用いて歩行者でのマルチパス誤差を推測するモデルを検討・評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
IEEE VTC-2020 Springへ論文の投稿が採録され、参加登録費は立替払いで3月中払ったが、その立替払い請求は5月会議開催後となる。 使用計画 5月下旬開催のIEEE VTC-2020 Springの参加費に使用
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