研究課題/領域番号 |
19K11945
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
米澤 拓郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90596917)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スマートシティ / ユビキタスコンピューティング / ミドルウェア |
研究実績の概要 |
研究では、時空間的に分散する都市センサ情報源に対するユーザの興味を、都市センサの状況とユーザ自身の状況を考慮したスコープとして定義し、動的にPubSubノードの選択と処理を実行可能な新たなPubSubモデルを提案する。また、本研究では頻繁に利用される効果的なスコープ定義をパターンとして提供し、ユーザのスコープ定義の負荷を軽減させるとともに、サービス開発の指針として利用可能とさせる。 初年度は、スコープの定義手法として対象としたフローベースのビジュアルエディタNode-REDとスマートシティ基盤を構成するSOXFire,FIWAREをつなぐカスタムノードの設計・実装を行い、Node-RED内から都市センサにアクセスし、一次PubSubノードの選択とその処理結果を配信し新たな仮想センサノードとして利用可能な二次PubSubノードの定義と同ノードへの配信を可能とするシステムの構築を達成した。これらのカスタムノードはすでにGithub上でオープンソース公開を行っている。また、スコープ定義のパターン化を達成するため、複数の都市状況を上述したNode-RED上でモデリングした。初年度は、わかりやすい都市状況として,災害(地震,水害,荒天,災害警戒レベル等)に関する状況をSOXFire基盤とNode-REDを組み合わせ,検出可能とした。また、検出した結果を任意のサービスで利用可能とするよう、HTTPのエンドポイントへと自動変化する仕組みを構築した。これらの成果を元に、本研究と連動した異種スマートシティ間の社会状況に応じた動的な接続基盤を構築し、複数の実証シナリオのもとで実験を行い、提案手法の有効性を確認した。また、都市レベルだけではなく、人の状況や、人から都市データを効率よく収集可能な参加型センシングのフレームワークを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、研究計画に沿いつつも、それに囚われない当初の計画を超えた研究活動を進めている。具体的には、初年度は本研究で提案するPublish-Subscribeモデルの処理フローパターンに基づく都市情報網の構成要素であるNode-REDを拡張したスコープ定義手法を構築、一次PubSubノードと二次PubSubノードの接続方式を実装するとともに、複数の社会状況の実際のモデリングを行った。一方、これらを利用し、社会状況に応じた異種スマートシティ基盤の動的な接続基盤を提案・構築するなど、研究成果の応用に初年度から取り組みことができている。また、過去の研究成果と本研究のコンセプトを組み合わせ、Node-REDを用いた都市データの新たな分析手法や、参加型センシングへの応用などに関する研究を実施することができた。これらの研究成果を元に、1件の論文誌、5件の査読あり会議(国際学会含む)などの成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果を元に、下記のように研究を推進する。 2年目: 研究課題1:スコープの定義と処理方式、に関して、システムの実装と実験を1都市(名古屋市を予定)におけるIoTセンサを対象に行う。具体的には、屋外・屋内の2箇所の公共施設を対象とし、名古屋市が所有する東山動植物園、セントレア空港に設置したセンサデータを対象とした実験を予定している。また研究課題2:パターン抽出と応用、に関して、1年目に抽出したパターンを研究課題1のスコープ定義に落とし込み、10件以上の具体的なパターンを構築する。具体的には、都市センサのデータ送出パターンからそのセンサのメタ情報を推定し、定義済みのパターンとの類似度を分析し、自動パターン化を行う。 3年目: 研究課題1,2を統合し、複数の都市(3都市以上)において実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により予定していた出張がキャンセルとなったため。
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