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本研究では，実サーバを構成するハードウェアの電力消費特性だけでなく，実サーバ内で稼働している複数の仮想マシン上でのソフトウェアの実行も考慮した実サーバの電力消費モデルを提案し，提案した電力消費モデルをもとに応用サービスの信頼性，可用性の向上のためにクラウド・システム内の複数の仮想マシンに多重化されたオブジェクト（情報資源）に対して，システム全体の消費電力量を削減し，かつスループットを向上できる新たな同時実行制御方式を提案することを目的とした．
2019年度は，実サーバ上で稼働した複数の仮想マシン上に複数のオブジェクトを配置し，各オブジェクト上でトランザクションから発行された演算を実行した場合の仮想マシンの計算モデルと実サーバの電力消費モデルを定義した．2020年度は，2019年度に定義した計算モデルと電力消費モデルをもとに多重化されたオブジェクトに対する同時実行制御方式の１つであるコーラム方式を拡張し，システム全体の消費電力量が削減できるコーラムを選定するアルゴリズムを提案した．さらに，各オブジェクト上で実行される演算の実行系列と演算の特性をもとに各オブジェクト上で実行を省略できる演算を定義し，各オブジェクト上で意味のない演算の実行を省略することで電力消費を抑える制御方式を提案した．2021年度（最終年度）は，2020年度に提案したシステム全体の消費電力量が削減できるコーラム選定アルゴリズムと各オブジェクト上で意味のない演算の実行を省略するための制御方式を組み合わせた同時実行制御方式の実装を行った．また，実装した同時実行制御方式の有効性を評価するためのシミュレーション環境の構築を行い，構築したシミュレーション環境を用いて，従来の同時実行制御方式に比べて，提案した同時実行制御方式がシステム全体の消費電力量を削減でき，かつスループットが向上できていることを検証した．
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