研究課題/領域番号 |
19K11958
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 周行 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (20225999)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Internet trust / policy decision point / assertion exchange / elastic trust model / BLE network / blockchain |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、スパースな分散ネットワークでのセキュリティとトラストを推論・計算することであり、実施計画としてA. 推論・計算のための論理の構築と、B.IoTネットワークにおいての実装をあげていた。2019年度は、以下について成果をあげた。 A.アサーションを交換することでトラストが変化するリフレクションを表現する論理の構築の完成: リフレクションを含み、IoTノードのjoin, leaveによってトラストが変化するKripke modelの記述を行い、論文Elastic Trust Model for Dynamically Evolving Trust Frameworksにまとめた。この論文では、セキュリティアサーションの受け入れによりトラストが伸縮すること、さらにIoTノードのjoin/leaveを表現するメタな体系が必要であることを明らかにした。この理論によって、アサーションの交換によりトラストを成長させていくブロックチェインの拡張を説明するトラストモデルの構築の基礎ができたと評価している。加えて、ベースとなる論理のBelnap論理による拡張を行った B.IoTノードのネットワークの構築: ブロックチェインをはじめとするスパースな分散ネットワークを対象とする、実際のアプリケーションを構築し、A.の適用により新たな性質の解析につながるものを作った。具体的にはブロックチェインベースのアクセス制御体系の構築を行った。IoTネットワークについては、通信プロトコルの多様性も視野に入れなければならないが、RaspberryPiをノードとするIoTネットワークにおいて、BLEを対象にしたネットワークの具体的な構築(https://github.com/oli415/IoT-project)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の核になる伸縮可能なトラストモデルの構築によい結果を得た。ここでは、セキュリティアサーションの受け入れによるトラストの拡張を可能にするトラストモデルに加えて、ネット内でのノードの動的な参加を表現することが必要であることが明らかになった点で、成果である。このモデルが適用可能な応用システムの提示としても、次年度に発表予定できる結果を得た。ここでは、ブロックチェインをベースにしたシステムとBLEを使ったIoTネットワークの構築ができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降は、A.理論構築に関しては、構築された応用システムを対象にした、新しい問題の発見と、それを解決するためのトラストモデルの拡張を行う。従来の、理論的に解明されていなかったトラストモデルを構築した理論で解析することを端緒とする予定である。さらに、B.に関しては、拡張されたトラストモデルをベースにした新しい応用システムの構築を行う。
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備考 |
BLEネットワークのPoC
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