実社会とサイバー空間との相互連関が社会のあらゆる領域に実装され,大きな社会的価値を生み出す方向に社会は進んでいる.サイバー空間に蓄積されるデータを活用した新しい価値を創造するサイバーフィジカルシステムのデータ駆動型サービスにおいては,データの提供者と利用者の間で真正性が保証されたデータの流通が必須である.このときデータの目的外利用への懸念を解消することが不可欠である.本研究では安全にデータの取引を行えるようにするデータ流通基盤のアクセス制御に関する開発を行う.所有者とデータ利用者の間,異なるデータ利用者の間でデータ交換を安心して行える要素技術を確立するとともに,データ流通プラットフォームにデータを提供する所有者の安心感を高めるために留意すべき点を明らかにするために心理的な要素を導出する. 本年度はまずデータを利用可能な利用者はデータ所有者が直接決められるアクセス制御のための認可方式について基本方式を設計した.認可情報を単一主体で管理していると提供者が不正を検知できないままデータを利用される可能性がある.認可情報を複数組織でブロックチェーン上で管理する方式とした.そして,認可の前に行われる認証に用いることを想定して,耐量子性を持つ符号ベースの認証方式と署名方式について検討した.また,アクセス記録などのログを改ざんや削除が困難になるようにブロックチェーンを用いたログ保存について検討した.
|