実社会とサイバー空間との相互連関が社会のあらゆる領域に実装され,大きな社会的価値を生み出す方向に社会は進んでいる.サイバー空間に蓄積されるデータを活用した新しい価値を創造するサイバーフィジカルシステムのデータ駆動型サービスにおいては,データの提供者と利用者の間で真正性が保証されたデータの流通が必須である.このときデータの目的外利用への懸念を解消することが不可欠である.本研究では安全にデータの取引を行えるようにするデータ流通基盤のアクセス制御に関する開発を行う.所有者とデータ利用者の間,異なるデータ利用者の間でデータ交換を安心して行える要素技術を確立するとともに,データ流通プラットフォームにデータを提供する所有者の安心感を高めるために留意すべき点を明らかにするために心理的な要素を導出する. 本年度は2019年度に設計したデータを利用可能な利用者はデータ所有者が直接決められるアクセス制御のための認可方式を拡張し,リソース管理範囲であるドメインを横断した認可の管理を実現する方式を設計した.そして利用者が設定する認可に関する全ての情報をブロックチェーンに記録することで,認可システムが侵害を受けても設定された認可情報の完全性が維持されるものとした.データ流通のためにクラウドストレージに保存したデータが完全性を保っているかをデータ所有者が遠隔地から確認できる監査方式と,データ所有者が提供するデバイスを認証するための公開鍵基盤について検討した.
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