導入・利用の容易性から,多数のユーザのモバイル端末を利用した群衆センシングが盛んに研究されている.しかし,ユーザがIDと共に位置情報を送信するため,プライバシー問題を引き起こす.そこでIDを必要としない匿名認証が提案されている.また,ユーザを匿名化した場合,そのユーザを追跡できずその信頼性が判断できないことから,信頼できないデータに基づいてデータ解析される恐れがある.そこで,匿名のままユーザおよびデータの信頼度を測る手法が提案されている.しかし,従来方式ではその匿名性や通信効率に問題がある.そこで本研究では,匿名性・通信効率を改良した方式を構築し,その安全性を検討する.さらに,各アルゴリズムをプロトタイプ実装するとともに,群衆センシングを想定した環境で実験し,有用性を示す.また,匿名認証の実用化においては,属性認証や第三者機関への信頼度の軽減も重要であるため,これらについても検討する. 本年度は,匿名認証のユーザ失効に関しては,方式の提案に加えて安全性の定式化および安全性証明まで行った論文を国際会議CANDAR2021に投稿し,採択された.本論文は,同会議のBest paper awardを受賞している.また,失効情報のデータサイズを削減した方式の提案も行っている.さらに,前年度まで開発していた匿名で信頼度を評価するシステムについて,失効機能を追加するとともに,Raspberry端末を想定したシステムを構築しその性能を評価している.
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