研究課題/領域番号 |
19K11976
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
吉川 雅弥 名城大学, 理工学部, 教授 (50373098)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セキュリティ / プライバシー / エッジ |
研究実績の概要 |
政府が推奨するSociety 5.0では,高度なサービスを実現するためにはエッジークラウドで情報の送受信を行うが,エッジ側のデバイスにおいて解決すべきいくつかの課題がある。具体的に申請研究では,(1)エッジ向けのセキュアインテリジェントモジュールと,(2)プライバシーを考慮した認証方式を開発する。令和3年度では,エッジデバイスの電源問題について,環境発電モジュールだけでなく,低消費電力を指向したセキュリティモジュールへの電力解析手法を開発すると共に,それに対する耐性を確保した低エネルギーなセキュア実装を検討した。この実装方式では対策箇所を限定することで,安全性を確保すると共に,冗長な回路を組み込まないことで,低エネルギーを実現した。このことはエッジデバイスの電源問題を解決するための要素技術である。さらに,実装の容易性の観点から,高位合成の評価も併せて行った。また,プライバシーを考慮した認証方式についても,昨年同様にいくつかの基本的な検討を行った。この検討を通して,当初の計画には無かった新しい課題の抽出を行った。この新しい課題は,深層学習を用いて従来よりも多くの情報を画像などの別の情報に隠蔽するステガノグラフィに関係するもので,セキュア認証に対してのセキュリティ評価の基本検討を行った。本年度の研究成果については,申請研究に関連するものも含めて,国内の学術論文誌での発表と,国際会議や国内会議でオンラインまたはオンサイトの口頭発表を行った。また,申請研究をこれまでと同様に推進するためにセキュリティ・組込デバイスの専門家だけでなく人工知能の専門家とも,適宜,意見交換・情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エッジ向けインテリジェントモジュールについて,昨年度からの継続課題であった環境発電をベースとしたハイディングの実装について,通常電源ベースではいくつかのハイディング実装について検討することができ,それらの知見の一部は外部発表することが出来た。また,深層学習の併用アーキテクチャについても検討することができた。 一方で,これらの検討は通常電源環境での検討・評価であり,環境発電の環境での実装評価が出来ておらず,これらが達成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(令和4年度)は,申請研究について,当初の計画を進めると共に,これまでの開発してきた要素技術を統合してシステム全体を完成させる必要がある。そのため,令和3年度まで完了予定であった環境発電によるこれまでの要素技術の実装評価を重点的に検討を行う。また,システム全体での実装・評価および今後の研究に関する課題抽出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初の計画では,物品の購入や国際会議での参加・発表を予定していた。しかし,当初参加を計画していた海外で全ての国際会議に現地での参加はコロの影響で出来ず,一部の学会についてはオンラインで参加した。そのため,参加出来なかった会議の参加費だけでなく,国際会議に係る全ての旅費が発生しなかったため,関連する予算を令和4年度に繰り越した。これらは今後の状況を踏まえて,学会参加費や評価実験拡充のための消耗品購入に有効活用する予定である。 (使用計画) 最終年度(令和4年度)は,当初計画の完遂を第一に,その上で新しく発見した課題に対する対策技術についても,当初計画の内容と同様に学術論文・国際会議論文を含めた外部発表を行う。
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