研究課題/領域番号 |
19K11977
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
姜 玄浩 東京工業高等専門学校, 電子工学科, 准教授 (40509204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 物理的クローン不可関数 / アナログ部品 |
研究実績の概要 |
ハードウェアの指紋のような,物理的クローン不可関数(Physical Unclonable Function,以下PUFという)を発見する研究として,1番目の目的は,アナログ部品から物理的クローン不可関数を発見することである. 対象となるアナログ部品が再現性とユニーク性を持つような仕組みを考案するに当たって,今回はカーボン抵抗に注目した.カーボン抵抗に注目した理由としては,概念的に簡単で扱いやすいため,誤差を持つほとんどのアナログ素子に応用が可能であると考えたためである. アプローチとしては様々な組み合わせで直並列接続を行った回路(PUF)に対して,全抵抗について同時に電圧降下を測定した.その得られた値から固有識別コードを作成し,それぞれのPUF同士でHamming Distanceを計算し,認証の実証実験を行った.このような精製されていないデータに対して,固有識別コードの作成はかなり重要なポイントである.今回のアプローチでは,印加電圧に応じて数値を割り振り幅を変化させながら生成を行った. 2番目の目的は,学校の実験授業のレベルでも,最先端のPUFの基礎概念が把握できることである.高校・高専・大学などの電子回路実験でよく使用されるアナログ部品から最先端技術と認識される物理的クローン不可関数が発見できることを目指している. 今回のアプローチは,ブレッドボード上に組んだもの全体を一つのPUFとして扱って実験可能なので,学校の実験授業でも教えやすい作りになっていることで,革新的な実験テーマになることを確信している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1番目の目的を解決するために検討したアナログ部品はカーボン抵抗である.最初は誤差を持つほとんどのアナログ素子に応用可能であることで,導入した部品であるが,固有識別コードの生成がうまくでき,非常に安定性が良い,PUFの試作ができたからである. 2番目の目的を解決するために学校の実験室で良く使用されるブレッドボードを基本材料として導入している.実験トラブルもなく,安定して結果が得られたからである.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度はアナログ部品から新たなPUFの特徴に注目し,安定した結果が得られた.新たなたアナログ部品のPUF化の研究を続けながら,今後は部品の組み合わせによって生成可能な信号をPUFの特徴として活かせるかにフォーカスを当てる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
基本的には新型コロナウイルス感染が広がる中,学会の参加を見合わせたのが大きな理由となる.次年度も積極的に学会に参加できるか保証がないが,最小限の学会参加はもちろん行う予定である.そのうえ,機械学習・深層学習により現在研究の攻撃指標に向けて,より理論的な解析と実験ができる環境を備えることも計画している.
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