研究課題/領域番号 |
19K11978
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
渡辺 知恵美 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (20362832)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 暗号化データベース / 個人情報保護 / 教育 / 学習分析 / クラウドソーシング |
研究実績の概要 |
(1)授業における学生からの質問や理解が不明な箇所を引き出すファシリテーションを行うシステムの開発、および、(2)暗号化データベースにおける挿入アルゴリズムの提案を行った。 (1)はオンライン授業コンテンツにおける学生の理解度を記録する仕組みとして開発を行なっている。またこのデータにおいて学習者の理解度を個人情報として捉えたときに、これを保護しつつクラウドサービスに格納するための手段として (1)の更新処理が必要となる。 (1)においては、授業において学習者から積極的に質問を引き出し、また学習者同士で知識を補完し合うというのは有効な手段であるが、質問することによって自分が理解できていない場所や勘違いしている知識を他の学習者に詳らかにすることには抵抗がある。そこでマイクロタスク型のクラウドソーシングを利用することで個別に質問を引き出す手段を提供し、またこれを匿名化して他の学習者によって知識を補完させる手法を提供した。教育動画視聴の後、よくある質問のタイプを例示することで、よりレベルの高い質問が引き出せることを示した。 (2)においては、データの挿入において挿入タイミングと場所から誰がどの値のデータを挿入したのかがわかってしまう問題を防ぐために提案した。もともと検索キーワードに対する結果の量(Data Volume)から元データの特徴が漏洩することを防ぐVolume hidingをデータ挿入においても維持するための手法である。実現手段として局所差分プライバシを用いたノイズ付与、および、Cackoo hashingの托卵操作を利用した更新箇所の撹乱を行なった。多くの不要な挿入操作が生じるが10万回の挿入でも合計で2.5ms程度の現実的な時間での処理が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は新型コロナ感染症に伴う大学内の授業形態が大きく変化したことにより、授業の準備および運営に大きく時間を費やすこととなり、研究の進捗が大幅に遅れる状況となった。 もともと個人情報の手段として匿名化と暗号化データベースの2パターンを適用しこれを組み合わせることを想定していたが、匿名化による手段は進められていない。 また、学習データの収集方法と匿名化及び検索手法はまだシステムとして紐付けられておらず、これを組み合わせる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績に述べた、二つの手法を組み合わせ、学習者の理解状況を保護しつつ、学習者同士のピアラーニングを促進するシステムの開発を進める。暗号化データベースにおいては、現時点では同時実行制御について考慮されていない状況にある。実験では現実的な処理速度で挿入が可能であることを示したが、本システムでは学習者が一斉に入力をする状況にあるため、占有ロックをかけてしまった場合は十分な時間での処理が保障されない可能性が高い。 また、学習者から理解状況を引き出し学習者同士の匿名ピアラーニングを進めることを目標としているが、質問内容等が自然言語であるため、匿名性を維持するのが難しい問題点も生じている。これらの改良を行い、論文として発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で、全ての学会発表、国際会議発表がオンラインとなり、 学会発表における旅費・宿泊費等の支出がなかったため。今年度も学会発表はすべてオンラインとなることが予想されるため、旅費・宿泊費にかかる支出として計上していた分は、システム開発および論文執筆に必要なPC等の購入及び実験環境として必要なクラウドサービスの利用費として計上する計画である。
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