研究課題/領域番号 |
19K11981
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 由希子 京都大学, 医学研究科, 講師 (80456863)
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研究分担者 |
黒田 知宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (10304156)
加藤 源太 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20571277)
岡本 和也 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (60565018)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リアルワールドデータ / NDB / 実態調査 / 医療費 / 消化器がん / 希少がん |
研究実績の概要 |
2020年度は厚生労働省から提供を受けたレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のデータを用いた実際の解析を実施した。また、解析システムの充実を行った。具体的には、2019年度に引き続き、消化器がんの中でも希少がんである小腸がんについて、データ解析を行い、解析結果を公表した。対象は2014年4月から2017年3月の3年間に小腸癌と病名がつけられた患者(疑い病名のみの患者を除く)で、対象患者の同期間におけるレセプトから診療情報を抽出し、手術や化学療法が行われた患者の手術施行状況(術式・病院機能別・年代別評価)、化学療法の施行実態(レジメン・病院機能別・年代別評価)について解析を行い、結果を2021年2月の臨床腫瘍学会にて公表した。 また、2020年度からNDBデータを用いて胃がん患者の化学療法の治療実態調査を開始し、レジメンごとの患者数、入院・外来での治療実施状況、治療費等の集計を行った。同時に京都大学医学部附属病院の院内レセプトデータおよび電子カルテ情報を用いて胃がん患者のレジメンごとの治療費の調査を行い、抗がん剤以外の治療費も含めたがん治療のコスト調査を開始した。これについても結果がまとまり次第、早急に公表の準備を進めたい。 また、これらの解析を進める過程で、データ量の膨大さのため、解析システムの増強が必要となったため、2020年度は解析システムの増強を行った。 また、研究を進めるための打ち合わせを関係者と定期的に行い、進捗の確認及び研究の方向性の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度はNDBデータ利用の手続きや、倫理委員会での承認手続き等に時間を要したが、2020年度は、年度当初から解析を開始できた。データ量の膨大さゆえに、解析開始後にシステムの増強を要したが、現在は解析を再開できており、2021年度もがん種の範囲や評価内容を拡大し、本邦における消化器がん患者の患者数の推計や、治療内容の検証、治療費の実態調査等を進めてまいりたい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に引き続き、治療実態が明らかでない消化器の希少がんの解析を、がん種を増やし、解析対象を広げて実施する予定である。同時に2020年度から開始している胃がん等、本邦でも患者数が多い疾患における治療の実施状況およびコスト評価についても解析を進める予定である。また、2021年度はNDBオンサイトリサーチセンターの利用が可能になることから、最新のレセプトデータを用いてがん治療における新規治療の開発・承認後の普及状況 ・高額な抗がん剤の使用状況等について、より現状に近いデータ分析を行う予定である。同時に京都大学医学部附属病院でのレセプトデータを用いて、レセプト解析法の妥当性の検証および病名同定アルゴリズム等の検証を進める。2021年度は本研究の最終年度であることから、得られた成果についての公表の準備も並行して進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナ禍の影響で学会出張等がなくなったため、旅費等が当初予定より使用されていないが、2021年度は研究の最終年度に当たるため、学会発表や論文発表等を積極的に行ってまいりたい。
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