研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、津波災害に関するあらゆる研究活動、今後も津波災害が想定される地域での防災計画立案、防災教育など、過去の災害情報を必要とするあらゆる場面に利用される津波災害情報を様々な形で提供するディジタルアーカイブおよび支援システムを構築することにある。2002年から現在まで稼働している津波ディジタルライブラリィ(https://tsunami-dl.jp, 略称:TDL)のディジタルコンテンツをもとにシステム構築を目指している。TDLで閲覧可能な津波に関する情報は、古文書、記録集、写真集、公的機関発行の記録誌・記念誌、論文、新聞記事、撮影ビデオ、再現CG、政府の災害対策手引き・指針、津波研究者編集の解説スライド、津波被害に繰り返し襲われている土地や石碑の写真(但し、2011年東日本大震災より前の時期)など、津波災害に関するあらゆる文献・情報など多岐にわたり、現在もコンテンツを追加している。 本研究課題では上記の目的のうち、津波防災教育利用に焦点を絞っている。本年は、前年度に引き続き、TDLコンテンツのなかで、文献に記載されている地名とその被害が記載されている記録表のテキストデータを作成して、地名による被害記録一覧表の検索を可能とし、その検索結果から元文献をたどれる仕組みを構築した。システムでは、スマートフォンをインタフェースとして使用し、地名のテキスト入力だけでなくGPSによる地名で検索を可能とするシステムを構築した。インタフェースとしてスマートフォンを使用することで、実際に被害記録のある現地に赴きその地の被害記録を調べたり、さらにその被害記録から元の文献を参照したり、関連する文献を参照することでより深く災害について調べたりすることが可能となり、今後の津波防災教育利用に役立つと考えられる。
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