研究課題/領域番号 |
19K11986
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山崎 悟史 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (80635889)
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研究分担者 |
切岩 祥和 静岡大学, 農学部, 教授 (50303540)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農業CPS / 施設栽培果樹作物 / 収穫量予測 / 統計的学習 / LPWAネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、IoTから収集されたデータの統計的解析に基づいて、果樹栽培作物の収穫量に関する新たな知見(例えば予測精度)を得ることである。環境にロバストな収穫モデルを構築するには、物理空間の情報(データ)を容易かつ確実に取得できる手段が必要である。これまで地域就農者らが運営するイチゴハウス施設内に狭帯域無線センサネットワークを構築し,データ蓄積および解析を進めてきた。しかし,そのシステムではハウス内での無線伝送距離が高々10メートル程度であり状況によって中継時にデータ誤りや欠損が生じるため、データ解析精度の劣化を招いていた。 1年目では、低消費電力かつ長距離通信可能なLPWA(Low Power Wide Area)規格に基づくIoTネットワークへの改修を進めた。LPWAにより長距離伝送を確保し、前述した問題点の克服が期待される。具体的には、アンライセンスバンドLPWAの一つであるSigfoxに着目し、汎用電子部品から構成されるセンサ端末を設計・開発した。スペクトル波形の測定結果や、データサイズに対する伝送時間が理論値と実験値がおおむね一致したことから開発したセンサ端末の妥当性を明らかにした。次に、フィールド実験を通じて基本伝送特性を測定した。特に、今回開発したIoTネットワークを用いれば最大で26.35kmのデータ伝送が実現可能なことを示した。さらに、ハウス内におけるセンサ端末位置とデータを受信したSigfox基地局数の関係から、センサ端末の最適な設置条件を明らかにした。 これらの成果は、国際会議および国内学会、新聞報道、技術雑誌等を通じて広く公開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載したとおり、本年度、LPWA規格に基づくIoTネットワーク、すなわち基本的な実験系構築が終了し、次年度以降の本格的なデータ解析への足掛かりを得たため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本年度構築したIoTネットワークのエネルギー消費性能を明らかにする。具体的には、センサ端末のバッテリー寿命を推定可能とする手法を確立し、数値評価を行う。次に、これまで取得してきたデータを含め、提案する収穫量モデルとノンパラメトリック回帰を活用し、収穫量予測精度の基礎評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019.3頃から感染拡大した新型コロナウィルスの影響で,3月に発表申込み済みであった学会,研究会等が全て中止となったため,その分の旅費等が残った. 次年度以降も学会発表に関してはこのような状況が続くと思われるため,実機実験や計算機実験の構築等に充てる.
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