研究課題/領域番号 |
19K11997
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
安井 崇 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20403438)
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研究分担者 |
杉坂 純一郎 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00599227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光集積回路 / 有限要素法 / ビーム伝搬法 / 光エレクトロニクス / 石英平面回路 / カルコゲナイドガラス / 遺伝的アルゴリズム / 機械学習 |
研究実績の概要 |
令和元年度の研究では1件の研究会発表と2件の学会発表を行った.本研究課題で開発を行っている実数型マイクロGA(遺伝的アルゴリズム)を使用した石英平面光回路を用いた4x4多モード干渉(MMI)カプラ型光90度ハイブリッドの構造最適設計について検討した結果を,電子情報通信学会光・電波ワークショップにて発表した.また,前述の実数型マイクロGAを用いた最適設計システムに対してMPI(Message-Passing Interface)を使用した並列・分散処理化を行った.本手法を石英平面回路型2x2MMIカプラの構造最適化に適用した.電子計算機5台を用いた並列・分散処理化の結果,4倍程度の高速化を実現することができた.この結果について2019年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会で発表を行った. 加えて,近年,天文学で使用される超大型望遠鏡内に設置する装置として注目されている,カルコゲナイドガラス光導波路を使用した中赤外域で使用する光集積回路設計のための基礎的検討を行った.導波路コアにAs2Se3を使用したチャネル型光導波路の導波特性の評価を行い,その結果,構造パラメータを調節することで天文学で使用される帯域のひとつであるastronimical N band(波長8~12μm)全域で偏光に関係なくシングルモード動作を実現できることを明らかにした.この結果について,2020年電子情報通信学会総合大会において発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度の研究では,当初予定していた通り,実数型マイクロGAによる光導波路の最適設計システムの並列・分散処理化をMPIを用いて行うことができた.加えて,石英平面光回路型2x2 MMIカプラの構造最適化に本手法を適用したところ,電子計算機5台使用時の高速化率が4倍程度と良好な結果を得ることができた. 以上の理由により,本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究で実現した,並列・分散処理化によって高効率化した実数型マイクロGAによる光導波路の最適設計システムを使用して,石英平面光回路型4x4 MMIカプラにによる光90度ハイブリッド回路の自動最適設計について検討を行う.これに加えて,光波の伝搬解析に現在使用している等価屈折率近似を用いた2次元ビーム伝搬法に代わって,より厳密であるが計算コストの高い3次元ビーム伝搬方を使用した最適設計について検討を行う.3次元解析では並列・分散処理による高速化の効果がより期待できるので,その効果の検証を行う.また,より厳密な3次元解析を使用することで,現在使用している2次元解析に基づく設計手法の精度的限界を見極める. 通信波長帯で使用する石英平面光回路の自動最適設計に加えて,中赤外の波長帯を対象としたカルコゲナイドガラス光導波路を用いた高性能光集積回路設計のための検討も引き続き行う.具体的に,カルコゲナイドガラスを使用したチャネル型光導波路やリブ形光導波路に対する中赤外域での詳細な導波特性を明らかにすることで,この帯域で動作する光集積回路設計に必要な基礎的な知見を明らかにする.また,その知見に基づいて,中赤外域で動作するカルコゲナイドガラス型光集積回路の自動最適設計に発展させることを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表のために参加予定だった,2020年電子情報通信学会総合大会(広島大学,広島県東広島市)が新型コロナウイルスの感染拡大のため,現地開催が中止となった.その結果,これに参加するために使用予定だった旅費が執行できなかったことにより次年度使用額が生じた.なお,大会論文集が公開されたことで発表が成立しているため本件に関する発表を研究成果として記載している. 発生した次年度使用額と翌年度分の助成金を合わせることで,申請当初は予定していなかった高性能コンパイラの購入に充て,当初想定していた以上に高効率な解析の実現を目指す.
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