研究課題/領域番号 |
19K11999
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 順也 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (20376495)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハイパフォーマンス・コンピューティング / 濡れ / 微細構造 / 流体工学 / 混相流 |
研究実績の概要 |
固体表面に微細構造を付加することで,従来にない新しい機能や高い表面性能(たとえば,超撥水性)を実現できることが知られている.しかしながら,このような表面機能の発現機構や効率,堅牢性については未解明な点が残っている.したがって、微細構造の付加による表面機能の高度化・実用化には,微細構造内外の流動・伝熱・気液界面運動の総合的な振る舞いとしての濡れ現象を解明する必要がある.本研究では,大規模並列計算技術を活用することで,流動・伝熱・気液界面挙動の相互干渉による非定常マルチスケール・マルチフィジクス現象に対する直接数値シミュレーションを実現し,微細構造表面上の濡れ現象を機構論的に解明するとともに,微細構造の形状・寸法・配置に関するパラメトリック解析を実施し,表面機能の発現や高度化に必要な微細構造の設計要件を明らかにする.
R1年度は,主に,計算モデルおよび計算プログラムの開発をおこなった。本計算モデルでは、気相、液相ともに非圧縮性流体と仮定し、それぞれ質量・運動量方程式を導出した。また、気液二相流解析における計算手法としては、気液界面の追跡にはレベルセット法を、気液界面における境界条件(表面張力も含む)にはGhost Fluid法を用いた。計算格子には、階層型の直交格子を採用した。開発した計算プログラムの検証を目的として,計算精度・計算効率の妥当性,現象の再現性を確認した.具体的には、1)微細構造上におかれた液滴の静的接触角,2)微細構造表面に衝突する液滴の挙動の2件について,既往の実験結果と比較検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算プログラムの開発、精度検証について、順調に進んでいる。一方で、計算プログラムの高速化,精度向上等についても課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり、微細構造上の液滴に関するCassie-Wenzel転移現象について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施作業の主な部分は計算プログラムの開発であったため、既存の設備が利用でき、新しい備品の購入が不要であった。また、実行した計算の規模が比較的小さく、やはり既存の計算機で対応できたため、スパコンの利用を取りやめた。今後は計算規模が大きくなることが見込まれるため,スパコン利用量を増やす予定である。
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