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2022 年度 実施状況報告書

認知症早期発見に向けた高齢者の対話データベース構築と認知症傾向検出

研究課題

研究課題/領域番号 19K12022
研究機関愛知県立大学

研究代表者

入部 百合絵  愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (40397500)

研究分担者 北岡 教英  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10333501)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード認知症傾向検出 / 高齢者 / 対話データベース
研究実績の概要

本研究は日常の雑談対話から認知症傾向を検出することを目的としている.令和2年度では認知症に関わる音響的特徴量を明らかにするとともに,過去に収録した名古屋と徳島の対話音声に含まれる方言の違いについて分析した.その結果,フォルマント周波数などの声道特性パラメータに有意な差が認められた.このことより,実用化を考えた場合には,対象者の方言による違いを考慮した認知症傾向検出手法を提案する必要があることが明らかとなった.一方,声道特性パラメータのような音響的特徴量以外にも,認知症傾向を捉える上で考慮すべき言語特徴量を検討する必要もある.そのため,3年目では認知症傾向に関連する言語特徴量について検討した.その結果,対話文における係り受け距離に有意な差が認められた.そこで4年目の令和4年度は,認知症傾向有無間で有意な差が認められた,助詞割合,一般名詞割合,係り受け(深度,距離)など言語特徴量を中心に,認知症傾向有無に対する2クラス分類を実施した.その結果,感度92.0%,特異度89.5%という結果を得ることができた.特に,先行研究で用いられてきた,語彙に関する言語的特徴量に,係り受けに関する特徴量を加えることで,感度が12.0%向上し,本提案の有用性を示すことができた.これらの成果は国内学会で発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年目に認知症傾向有無間で有意な差の認められた「係り受け距離」を用いることで,認知症傾向検出精度(Accuracy)90.9%を得ることができた.従来用いられてきた語彙に関する特徴量と比較し,検出精度が16.9%向上した.特に,認知症疑いのある高齢者音声を「傾向あり」と正しく判定した感度(sensitivity)が92.0%であり,従来よりも12.0%向上した.このことより,認知症傾向ありを無しと誤判別する数を軽減させることができた.
4年目は本研究の最終到達点として,認知症傾向の識別器を構築し,その識別精度を向上させることを目的としていたため,上記結果よりおおむね計画通りに進んでいると判断した.

今後の研究の推進方策

令和4年度では,対話音声から認知症傾向を識別することを目的とし,識別モデルを構築し,精度向上を達成した.しかし,感度92.0%,特異度89.5%であるため,識別モデルを改良する必要がある.そのため,自然言語処理で汎化能力の高さから用いられる,BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を中心に複数の識別器を用いることで,認知症傾向識別の精緻化を目指す.

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響により,国際会議や国内学会がオンライン開催となったため,旅費の支出が予定よりも少なかったことが理由として挙げられる.
次年度は旅費の支出が増える見込みである

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A new speech corpus of super-elderly Japanese for acoustic modeling2023

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Meiko、Nishimura Ryota、Nishizaki Hiromitsu、Horii Koharu、Iribe Yurie、Yamamoto Kazumasa、Kitaoka Norihide
    • 雑誌名

      Computer Speech and Language

      巻: 77 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.csl.2022.101424

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A CORPUS-BASED ANALYSIS OF AGE-RELATED CHANGES IN THE ACOUSTIC FEATURES OF ELDERLY TO SUPER ELDERLY SPEECH2022

    • 著者名/発表者名
      Meiko Fukuda,Masakazu Sugiyama,Ryota Nishimura,Yurie Iribe,Kazumasa Yamamoto,Norihide Kitaoka
    • 学会等名
      O-COCOSDA2022
    • 国際学会
  • [学会発表] Elderly Conversational Speech Corpus with Cognitive Impairment Test and Pilot Dementia Detection Experiment Using Acoustic Characteristics of Speech in Japanese Dialects2022

    • 著者名/発表者名
      Meiko Fukuda, Maina Umezawa, Ryota Nishimura, Yurie Iribe, Kazumasa Yamamoto, Norihide Kitaoka
    • 学会等名
      LREC2022
    • 国際学会
  • [学会発表] BERTを用いた雑談対話音声からの認知症疑い検出2022

    • 著者名/発表者名
      岡田 智哉,入部 百合絵,北岡 教英
    • 学会等名
      日本音響学会秋季研究発表会
  • [学会発表] 超高齢者コーパスとS-JNAS を用いた高齢者音声の音響的特徴の分析2022

    • 著者名/発表者名
      福田 芽衣子,杉山 雅和,西村 良太,入部 百合絵,山本 一公,北岡 教英
    • 学会等名
      日本音響学会秋季研究発表会
  • [学会発表] パーキンソン病の重症度に基づく音響的特徴量の比較分析2022

    • 著者名/発表者名
      丸山 由華,入部 百合絵,北岡 教英,横井 克典,勝野 雅央
    • 学会等名
      日本音響学会秋季研究発表会
  • [備考] https://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~iribe/

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公開日: 2023-12-25  

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