研究課題/領域番号 |
19K12025
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
浜本 隆之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (10297624)
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研究分担者 |
杉村 大輔 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10712052)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イメージセンサ / 単一光子検出 / 再構成処理 |
研究実績の概要 |
本研究は、微小時間内に光子が入力したかどうかをイメージセンサ上で検出し、その情報を基に画像再構成を行い、高信号対雑音比(SNR)かつ高ダイナミックレンジ(DR)画像を高速に取得する技術の検討を行うものである。PD 部で画素毎に光子の入力の有無を判定することでA/D 変換を行い、後段の処理部で信号処理を施すことで、画像の使用目的に合わせた高品質画像を取得できる、柔軟な撮像技術を確立することを目的としており、本年度は低ノイズ・高DRや動きぼけ抑制を目指した撮像・再構成処理方式について検討し、提案方式を実現するイメージセンサLSIの設計と試作を行った。具体的には、以下のような項目について検討した。 (1)低ノイズ・高DR・動きボケ抑制をめざした撮像・再構成処理方式の検討:動き情報に基づいて動きぼけを抑制し、さらにはサブフレーム累積による低ノイズ、高DR化を図ることができる再構成処理方式について検討した。 (2)提案方式を実現するイメージセンサLSIの設計:前年度に試作したテスト用LSIを踏まえて回路の見直しを行った上で、32x32画素で1000fpsで動作するSPADイメージセンサLSIを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビットプレーン画像群からの再構成処理方式の検討については、概ね計画通りに進んでいる。 被写体の動きに合わせて再構成する手法については、異なる速度を有する複数の被写体が重なっているような複雑なシーンにおいても、高画質な画像再構成を行うことができる新たな動きボケ除去手法を提案した。入射光子の時間的な揺らぎを統計学的手法で評価することにより、より光子が少ない環境においても高精度な動き検出が可能である。また、本手法は、動きボケ除去に加えてノイズ除去処理を行うことで、被写体ブレを抑えたままピーク信号対雑音比がさらに1.2dB改善することが示された。 ハードウェア面では、画素数は32x32画素と少ないがSPAD画素で構成されるアレイイメージセンサの設計と試作を行い、その評価ボードを作成した。今後、本ボードを用いて試作したイメージセンサの評価を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、引き続き、高DRや動きボケ抑制等をめざした撮像および再構成処理方式の検討を行う。形状や明るさが変化する、より複雑なシーンにおいても高品質な画像を再構成する手法を検討し、その性能限界も明らかにする。また、前年度に検討できなかった、撮像の目的にあわせて、再構成画像の時間解像度や空間解像度、ダイナミックレンジを適応的に設定できる方式についても検討したい。 さらに、前年度に作成した試作イメージセンサで取得した情報を用いて、提案する再構成処理を評価する予定である。また、可能であれば、試作イメージセンサのリアルタイム動作を目指す。最後に、本研究の総括を行い、本研究の問題点や改善方法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)LSIの試作や評価ボードの製作に関しては大学の予算も活用しており、予定よりも支出の総額が少なくなったためである。 (使用計画)柔軟な画像再構成を検討するためのコンピュータやLSIの評価システムのために適切に活用する予定である。
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