本研究は、微小時間内に光子が入力したかどうかをイメージセンサ上で検出し、その情報を基に画像再構成を行い、高信号対雑音比(SNR)かつ高ダイナミックレンジ(DR)画像を高速に取得する技術の検討を行うものである。PD 部で画素毎に光子の入力の有無を判定することでA/D 変換を行い、後段の処理部で信号処理を施すことで、画像の使用目的に合わせた高品質画像を取得できる、柔軟な撮像技術を確立することを目的としている。本年度は、新たに低ノイズ・高DRを目指した撮像・再構成処理方式について検討した。具体的には、以下のような項目について検討した。 (1) 試作したイメージセンサとFPGA等を用いた評価ボードを設計、製作し、提案する再構成手法を実装する基盤を作った。 (2)複数の光子検出閾値を適用した光子入射観測および多値画像再構成処理について検討し、その有効性を確認した。
本研究では、最終的に、SPAD イメージセンサにおいて画素内のカウント回路の構成、計数途中の情報の閾値処理といった、画素内の処理回路を工夫し、それを活用して得られた情報に基づいて再構成処理を施すことで、低ノイズで高DR な撮像を実現できることを確認した。
|