研究課題/領域番号 |
19K12040
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
堀田 政二 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90346932)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パターン認識 / 人工パターン生成 |
研究実績の概要 |
特定の害獣が忌避する人工音声の生成,および人工視覚パターンの生成を前年度から引き続き行い,実際に対象害獣に性質が類似したヤモリに対して効果があるか否かの実験を行った.具体的には,人工音声を含むさまざまな音声である自然音,人間の活動音声,異なる周波数からなるサイン波,害獣にとって天敵となる蛇や鳥の画像,シルエットからなる視覚パターン,およびドットパターンに動きを付与した人工パターンを提示し,行動に変化が現れるかどうかを観察した.さらに温度や時間帯に応じて,反応の違いがあるかどうかについても実験を通して確認を行った.その結果,音声に関しては,有意差が確認できるほどの行動の際は発生しなかったが,視覚パターンに関しては,単純パターンに対して忌避行動,あるいは誘因行動が引き起こされることが明らかとなった.特に音声に関しては,ほぼ行動パターンがランダムであり,音声よりも視覚パターンに強く反応する場合が多くなる傾向が見られた.副次的な研究成果として,グリーンアノールは音声を発しないことが示唆される実験結果も得られている.一方,視覚パターンに対しては害獣にとって餌となるような昆虫などの動きに類似したパターンに強い反応が見られたが,同じ動きを持つ複数の格子パターンや回転や大きさの変化を伴う様なパターンに対しては無反応であった.さらに,爬虫類の天敵である鳥類の画像に対しても反応が起きないという結果を得ることができた.この結果から,対象害獣は高度な視覚能力を有するにもかかわらず,高次の認識能力がさほど高くないことを示唆している.なお,本研究に関しては新型ウィルスの影響により,実験の実施,および対外発表に支障が出たため,1年間の延長の許可を得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標である,人工パターンの生成に関してはおおむね順調に進展しているが,コロナ禍の影響により,現地での生データの収集に支障をきたしている状況が続いている.そのため,代替実験として生データを使用しない,比較的単純なパターンに対する害獣の反応を観察する実験を主として行っている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は1年間の延長が認められたため,新型コロナの影響により実験の実施の中止が生じたこと,および対外発表の機会の消失が発生したため,最終年度にて,これらの問題に対処できるように論文投稿費・学会参加費に予算を使用する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により実験の実施の中止が生じたこと,および対外発表の機会の消失が発生したため,最終年度にて,学会参加費・論文投稿費に予算を使用する予定である.
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