柔軟面状触覚センサを用いて計測した呼吸と心拍が,どれくらい信頼できるかを評価する指標を提案した.具体的には,体圧の時系列データを周波数解析したスペクトルのSN比と触画像から寝姿勢を求める際の機械学習の尤度から信頼度の指標を定義した.さらに,呼吸の高調波成分の影響を除外することで,心拍の計測精度を改善する手法を提案した.それにより,従来手法よりも高い信頼度で心拍を計測できることを,複数の被験者で実験を行って確認した.また,これらの呼吸と心拍の計測信頼度を用いて,睡眠状態を従来手法よりも高精度に推定する手法を提案した.具体的には,計測信頼度が高い生体情報を低い生体情報よりも重視することで,一部の生体情報の計測に失敗してしまった場合でもその影響をできるだけ排除した睡眠状態の推定が可能である. なお,2021年度における本研究の成果は,Journal of Robotics and Mechatronics (JRM)などで発表した.昨年度までと同様に新型コロナウイルスの影響で学会の現地開催は中止となっているものがほとんどだったが,リモートによる開催でも何も問題はなかった.また,論文誌であるJRMへの投稿にも支障はなかった. これらの提案手法を実装するために住友理工が開発した柔軟面状触覚センサであるSRセンサを購入した.さらに,所属する九州工業大学の「人を対象とする研究倫理審査委員会」の承認の更新を今年度も行った.同委員会の規定に従い,研究に新規に参加する学生たちにも実験内容についてきちんと説明して書面でのインフォームドコンセントを得ている.
|