研究課題/領域番号 |
19K12043
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
喜安 千弥 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20234388)
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研究分担者 |
酒井 智弥 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30345003)
薗田 光太郎 長崎大学, 工学研究科, 助教 (90415852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 分類 / 半教師つき / パターン認識 |
研究実績の概要 |
人工衛星から地表を観測したマルチスペクトル画像のカテゴリー分類においては,従来から教師つき分類アルゴリズムが主に用いられてきた.これらは十分な教師データが利用できることを前提としているため,実際の応用では教師データが限られていることが誤分類の要因となっていた.本研究では,半教師付き手法を適用して限られた教師データから高い精度で画素のカテゴリー分類を実現する方法の開発をめざす. 本研究では教師データの拡張とトランスダクティブSVMを融合した半教師つきアルゴリズムを実現するため,まず既存のSVMアルゴリズムをAVIRISデータを分類対象としてインプリメントし,多クラス分類の実験をおこなった.SVMは基本的には2クラス分類アルゴリズムであるが,それを組み合わせて多クラス分類を行ったときの誤分類の発生状態を把握した.一方,マルチテンポラル画像への応用を検討するため,5時期のLANDSAT-TMデータを対象として,データ取得時期が異なる画像から得られた教師データを用いた場合に,半教師つきアルゴリズムで分類精度を向上させる方法について実験検討をおこなった.半教師つきアルゴリズムで精度が向上するのは,教師つき分類でも良好な分類精度が得られる場合であることを確認した. 来年度は,引き続き教師データを拡張しつつトランスダクティブSVMの精度を向上させる方法について検討し,実用的なアルゴリズムの開発をめざす.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではトランスダクティブSVM を導入し,ラベルなしの画素に対してもマージンを最大化する方法を実現するために,クラス間の分離度を評価しつつ半教師つき手法を適用するアルゴリズムをめざしている.まず,SVMアルゴリズムを多クラス分類に適用できるようにインプリメントし,誤分類の発生についてクラス間の分離度との関係を考察した.この結果に基づき,半教師つき手法の適用が妥当かどうかを予測しつつ,効果がある場合を見極めて適用するようなアルゴリズムが構築可能である.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の結果に基づき,半教師つき手法の適用が妥当かどうかを予測しつつ,効果がある場合を見極めて適用するようなアルゴリズムを構築する.さらに,トランスダクティブ学習のアルゴリズムとしてSVM 以外の方法についても適用可能性を明らかにする.同時に,開発した手法を,複数のカテゴリーが混在した画素内のカテゴリー推定へ発展させる方法を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,高速計算用のワークステーションを購入して使用する計画であったが,アルゴリズムの基礎検討は既存の計算機でも可能であることがわかり,アルゴリズムを検証する段階でその時点で最新の計算機を導入するほうが効率的であることが明らかとなった.このため,ワークステーションの導入は次年度の研究にあわせて行うこととし,その予算を次年度使用とした.
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