本研究課題の目的は、日常的な活動の中で人間関係を緩やかに構築することを支援するアイスメルティングをデザインすることである。本年度は、異なるコミュニケーション状況にある人どうしが行う、コミュニケーション活動そのものを題材としたアイスメルティング活動のデザインを、コミュニケーションシステムの試作と実験により検討した。 1.主に発話によってコミュニケーションを行う人とテキストによってコミュニケーションを行う人が混在した状況において、Text-to-Speech(TTS)およびSpeech-to-Text(STT)の技術を用いて双方が対等に参加することができるコミュニケーションシステムを試作した。システムを利用したコミュニケーション実験において、従来システムでは疎外感を感じやすかったテキスト参加者が逆に会話を主導するなど対等な会話への貢献が見られたほか、STTの認識誤りが会話のきっかけになるなど人間関係構築に繋がりうる副次的な効果も観察された。ここまでの成果についてはGN研究会にて研究発表を行なっている。 2.母語の異なる人が参加するグローバルなコミュニケーション状況において、意味が通じるので話を遮ってまで指摘するほどではない些細な言語の誤りを指摘しやすくするコミュニケーションシステムを試作した。システムを利用したコミュニケーション実験において、母語話者と非母語話者が少ない心理的負担で言語についてのやり取りを行う場面が観察された。今後、このようなシステムの継続的な利用が人間関係構築につながるか検証を進めることを構想している。
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