研究課題/領域番号 |
19K12064
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡田 昌也 九州大学, 共創学部, 准教授 (10418519)
|
研究分担者 |
多田 昌裕 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40418520)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ラーニングアナリティクス / 行動情報学 / 実世界学習 / 学習方略 / 計算論 |
研究実績の概要 |
実世界に根ざした知識を得るためには,机上での学びにとどまらず,実世界の中で行動を通して学ぶ実世界学習が重要である.このとき,学習者が,自らの学習活動を省みて「学び方」を適切に自己調整できれば,知的生産性を高める行動をとれる.したがって,本研究では,このような「学び方」の内省を促すために,「実世界における学び方」を学習棄却・再学習させるための計算論的学習方略研究を実施する. 本年度,「実世界における学び方」を学習棄却・再学習させるための計算論的学習方略研究に関する基礎研究として,以下の研究を行った. ○実世界学習の形成過程に潜む制約条件を理解するための,行動のセマンティクス(意味情報)を分析する手法の開発と実践 具体的には,実世界に対する多視点の理解を得るために有効な行動をデータマイニング手法によって取り出すために,(1)実世界における学習行動を多面的に計測する技術,(2)多様な意味情報をもつ行動の時系列生起シーケンスのパラメータ表現を行う技術,(3)実世界の形成的過程に潜む制約条件を抽出する技術,を開発した.また,著者らの分析フレームワークを,京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション上賀茂試験地において取得した被験者データに対して適用した.このことによって,行動の意味水準のデータが,学習者の内的状況と制約を捉え,学習状況の変化点を見つけることに役立つという,初期的知見を得た.これは,著者らのフレームワークが,実世界の中で創発される状況論的知能のメカニズムの解明に向けた理論基盤となることを示す結果である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「実世界における学び方」を学習棄却・再学習させるための計算論的学習方略研究において,その基礎となる分析モデルの有効性について,実際のデータをもとに検討できた.その成果は,国際会議論文(査読付)1本のアクセプト・印刷,原著論文2件の印刷という形で公開され,本研究課題は,おおむね順調に進展していると考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
「実世界における学び方」を学習棄却・再学習させるための計算論的学習方略研究に関して,計算論的モデリングの定量的・定性的評価の拡充を,京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション上賀茂試験地などにおけるフィールド実験を通して行う.
|