研究課題
今年度は,共創ワークショップ(WS)における事例間の類似度尺度を設計した.本尺度の設計において,主にベースカード内の文字列の類似性に着目する手法と,ナレッジグラフ上の概念関係を利用した手法(KG法)について検討した.特に前者では,BERTによる単語の分散表現モデルに基づく手法(ベクトル法)と,語彙資源の1つであるWordNetを利用した手法(概念法)を検討した.また,ベクトル法とKG法,概念法とKG法をそれぞれ組み合わせたハイブリッド手法も検討した.各尺度を利用して算出したベースカードに対して,共創WS事例における共起率と文字列の類似性という2点で検証した.その結果,共起率に関してはKG法及びベクトル法とKG法に基づくハイブリッド手法(Vector-KG法)の有効性が明らかになった.また,文字列の類似性に関しては,ベクトル法が最も効果的であるが,出力数の分散が大きいことがわかった.またKG法と各ハイブリッド手法については,出力数が増加するにつれて,文字列の類似するベースカードが出力されやすいという結果が得られた.これらの実験により,本研究で構築したナレッジグラフは,ベースカード間の類似性を導出する上で有益であるといえる.次に,提案手法を利用して共創WS事例を表現するナレッジグラフを構築した.構築したナレッジグラフの数は30件,その内でplate数は156件,card数は368件,related_term数が887件である.本実験では,本ナレッジグラフの有効性を検証するために,ベースライン手法とKG法による類似度尺度を利用した場合の結果を出力した.本実験の結果から,出力数が35枚付近まではKG法が最も高い共起率を示しており,40枚付近からはベースライン手法とVector-KG法が最も高い共起率となった.また他の手法では40%を下回っており,提案手法の有効性が明らかになった.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
In Proceedings of the 12th International Conference on E-Service and Knowledge Management
巻: IEEE, ESKM ページ: 65--70
10.1109/IIAI-AAI53430.2021.00011
巻: IEEE, ESKM ページ: 59--64