研究課題/領域番号 |
19K12106
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
黒川 弘章 東京工科大学, 工学部, 教授 (20308282)
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研究分担者 |
高坂 拓司 中京大学, 工学部, 教授 (80320034)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 並列計算 / GPU / 分岐点探索 |
研究実績の概要 |
非線形力学系における分岐点探索アルゴリズムであるNLPSOの並列化を行った。すでに有効性が知られているNLPSOによる単純なcircle写像とエノン写像を用いて周期倍分岐とサドルノード分岐の導出を行うプログラムを、CUDA環境を用いてGPU上での並列化を行いその効果を測定した。シミュレーションの結果、諸条件の違いにより効果は異なるものの並列化せずに行った場合と比べて5倍から最大で30倍程度の計算速度で分岐点を導出することが示された。いくつかの試行を通して結果を評価した結果、想定どおり、並列化による性能向上は問題の複雑さに依存する様子が見て取れるため、現在はより高次元で複雑な力学系に対して評価を行っている。 また、シミュレーションを通して、PSOのアルゴリズムにおける打ち切り回数による計算速度向上に影響を与えることが確認された。当初の目的にもあった打ち切り回数の最適化機能を有する並列化に適したアルゴリズムの提案に向け、並列化の効果を最大化するための条件出しを引き続き行っている。今年度の研究を通して、多様な例題について多くの知見を持って評価を行う必要があることが分かったため、十分な試行を経た上での発表を考えている。 さらに、NLPSOのBorder-Collision分岐点探索への適用について研究分担者および研究協力者との研究が進み論文その他の発表に至っている。今後の並列化NLPSOの評価の一つの事例として加わることで、より汎用性を持ったシステムの構築に寄与する成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り研究を進めることができており、並列化の効果が具体的に認められるに至った。並列化に適したアルゴリズムの提案については概ね順調に進めてはいるが、多様な問題に対しての有効性を評価する必要性があり、対外発表には至っていない。また、並列化に関する発表を予定していた大会が中止となり評価を得る機会を失ったが、研究分担者および研究協力者とのディスカッションを通して良好なフィードバックが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
並列化のプログラミングにはノウハウに依存する部分も多いため引き続き高効率な並列化プログラミングを模索する。また、並列化に適したアルゴリズムの提案に向けて多様な対象のシミュレーションを行いアルゴリズムの条件出しを行う。 最終年度では汎用性のあるパッケージ化を行う予定であるため、その準備を早い段階で始めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の新型コロナウイルスによる学会開催中止によりいくつかの出張が中止になったため次年度使用額が生じた。また、2020年度も予定していた出張が中止になったため、比較実験用に新たに発表されたGPUの購入に充てる予定である。その他の経費については研究計画に沿って、研究打ち合わせ、情報収集、発表のための旅費、研究協力者に対する謝金、論文掲載料、回路部品代に充てる計画である。
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