研究課題/領域番号 |
19K12109
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
横田 将生 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50112313)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心像意味論 / 時空間言語 / 自然言語理解 / 認知科学 / 知能ロボット |
研究実績の概要 |
自然言語の中でも時空間に関する部分言語は特に時空間言語(Spatiotemporal Language)と呼ばれ、人間の認知にかかわる基本的な問題(曖昧性、漠然性、同一性、時間性など)を含んでいることからオントロジーの研究などにおいて大きな注目を浴びている。その一方、従来、時空間言語理解に関する多くの研究は英語の前置詞に相当する比較的少数の語句を中心とする事物間の静的位置関係に関する表現にその対象を限定している。しかしながら、時空間における事物間の関係表現、特に、動的なものは大部分動詞を中心とするものであり、さらに「分かれ道」などの複雑な静的位置関係は前置詞(あるいは相当語句)中心では不可能である。本申請者は、このような表現には時空間における人間の主観(外界知覚過程の性向、すなわち、時空間に対する心の働き方)が投影されていると考え、心理的な産物であるゲシュタルトなども基本概念とする心像意味論(Mental Image Directed Semantic Theory)と呼ぶ独自の自然言語意味論を展開し、人間の主観的知識の獲得モデルおよび体系的表現と計算に関する研究を行ってきている。本研究課題では、平成31年度において下記の項目について研究を行い、国際会議等においてその成果を発表した。 1)時空間に関する英語単語句の意味分析・記述:英語シソーラスから抽出した単語句(約200個)の意味分析・記述を関連する属性空間(“色立体”や“味覚立体”に相当)との対応において行った。 2)時空間に関する主観的法則の抽出および形式化:同一事象を指示しうる複数の異なる表現(すなわちパラフレーズ)を収集し10種類ほど法則化を行った。 3)心理実験に基づく時空間言語理解モデルの精緻化:実験的自然言語理解システムCoMaSに実装している仮想的ロボットと人物およびその環境のモデルを試験的に詳細化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
心理実験に基づき実験的自然言語理解システムCoMaSの性能を評価し、その結果を国際会議で公表したところ極めて良好な評価を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の研究成果は本研究の有効性と妥当性を十分に示しており当初の研究計画通りに令和2年度も研究を継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により予定の海外出張ができなかったため。
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