最終年度である今年度は,初年度と2年度目の成果である「静止画超解像」や「超解像と物体検出タスクの統合学習による微小物体検出の高性能化」を,多様な応用に発展させてその可能性や限界を検証した. 超解像については,そのぼけ除去能力を利用して,超魚眼カメラの組み合わせで車両周辺の鳥観画像を生成するアラウンドビューモニタリング画像の知覚的な質向上を検証した.提案手法によって,一般的な「真の画像と生成画像の差分による画質評価」でも「ヒトの知覚的な質をシミュレートした定量的指標」において質向上できることを確認した. 「超解像と物体検出タスクの統合学習による微小物体検出の高性能化」に関しては,ドローンから撮影された遠方の鳥を検出する手法を研究するため,研究に必要な画像データセットを作成・整理して,遠方鳥検出の性能検証した.画像データセットはインターネットで一般公開している. 微小物体検出の高性能化については,その基礎技術を応用して,微小な画像特徴(例:ビルの壁のひび割れ,眼球画像の毛細欠陥)の画素セグメンテーション手法も実現した.この手法では,一般物体検出用ニューラルネットワークの代わりに画像セグメンテーションニューラルネットワークを超解像ニューラルネットワークと統合して,微小な画像特徴を画素ごとに検出することを可能にしている.単純に画像セグメンテーションネットワークを利用するだけでなく,超解像との統合に適した深層学習ネットワークの最適化方法も提案することで,従来の最高性能手法を超える性能を実現できた.この手法は,国際会議で最優秀論文として選ばれた.
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