本研究の学術的意義は,「カオスの縁」から「普遍的臨界性」へと理解の方法を転換することを提唱して,その実践を提示したことにある.カオスの縁すなわち「生命システムのように臨界的な性質は,極めて限定されたパラメータ領域でのみ実現される」という描像は広く受け入れられているが,それは同期時間という特定の記述スタンスに依拠するものであり,非同期時間あるいは内部観測という別の記述スタンスにおいては臨界的な性質は普遍的に現れる.そのことをリザバーコンピューティングという機械学習分野にとどまらない学際的な研究対象において実証したことは,様々なシステム構築における設計指針に影響を及ぼすものと期待できる.
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