研究課題/領域番号 |
19K12144
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
高坂 拓司 中京大学, 工学部, 教授 (80320034)
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研究分担者 |
稲葉 直彦 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90213123)
軽部 周 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70370054)
麻原 寛之 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50709615)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 間隙 / grazing分岐 |
研究実績の概要 |
研究計画・方法を念頭に、以下の研究を行った: 1. 間隙を伴う系に対するgrazing分岐の分岐パラメータ追跡方法の検討 間隙を伴う系は、質点の一体化や衝突を伴うため申請者のこれまでの知見では安定性解析および分岐解析を行うことができない。そこで本年度は、パラメータ空間における grazing 分岐の解析手法を検討した。具体的には、Newton法を用いた数値的解析手法の根幹となる Poincare写像の構成法およびPoincare写像を伴う第一、第二変分方程式の数学的な計算を進めた。その結果、Poincare写像の構成は比較的容易に実現可能であるが、多周期に関する計算機実装、特に変分方程式の計算機実装がかなり複雑になることがわかった。そこで現在、研究分担者として別研究で進めている入れ子型にした粒子群最適化法を用いた周期点および分岐点計算法の本系への適用を試みている。 2. 歯打ち振動を模擬した機械振動系の実装 間隙を伴う系の定性的性質を検討するため、歯うち振動を模擬した機械振動系の実装を行った。具体的には、歯車の噛み具合を模擬した質点の内部に強制振動させた質点を置くモデルの実現を試みた。まず、3次元CADを用いて製図図面を作成し、実験装置を作成した。また、実験系におけるPoincare写像および測定環境を構築するための装置の制作を行った。他方、強制外力の周波数の上昇に伴う動的挙動の変化を観察した結果、grazing分岐の発生に伴い、系の一体化現象、周期解、カオス等の現象を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究計画は下記として申請を行っていた。(a)間隙を伴う系に対する解析手法の確率(b)歯打ち振動を模擬した機械振動系の実装(c)実験系におけるPoincare写像および測定環境の構築。 (a)に関しては、(b)の問題を念頭に数学的な検討を行った。周期外力の周期を写像とする数値解析の基となるアルゴリズムを作成した。また、上記したようにアルゴリズム的には実現可能でもその計算機実装が困難な場合はPSOを用いた手法での代用を念頭におきつつ開発を進めている。 (b)に関しては現時点で様々な現象を観察しており、おおよそ数学モデルを再現できているではないかと考えている。また、測定環境についても構築済みである。
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今後の研究の推進方策 |
1. 歯打ち振動を模擬した機械振動系の解析 意図的な間隙が系のパラメータに空間にどのような影響を与えるのかを、安定性解析およびgrazing分岐の観点から解析する。まず、実験系のパラメータフィッティングを行い、定性的性質の解明を進める。 2. 意図的な間隙を伴う旋盤加工法のモデル化と実装 意図的な切削方向に間隙を仮定した旋盤加工法の数学モデルを作成する。また、切削方向に与えた間隙が工作物の表面加工精度にどのような影響を与えるのかを、シミュレーションから読み取る。また、この旋盤加工法を実装する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入計画が当初案から若干変更したため。
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