研究課題/領域番号 |
19K12154
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
庄野 逸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50263231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | FPGA / モンテカルロ法 / スペクトル分解 |
研究実績の概要 |
統計的機械学習におけるベイズ推論において,サンプリングによる期待値の推定精度は学習機械の性能を大きく左右する因子である.一方,大規模な機械学習モデルでは,サンプリングの計算量が問題になる.本研究課題では,下記の3つの課題を設定し,スペクトル分解を中心とした実問題を例題に,FPGAによるアクセラレーターシステムを構築することを目指している.本年度としては,FPGAを用いて,マルコフチェーンモンテカルロ(MCMC)法の計算技術要素がどの程度実現可能なのかを調査した.評価には比較的安価なDigilent 社製の PYNQ 評価用ボードを用いた.MCMC法の要素技術は,乱数による乱択とエネルギー関数の計算であり,論理回路の形にいかに落とし込んでいくのかが問題となる. まず,乱数生成手法としては,まずは疑似的な乱数生成手法であるメルセンヌツイスター法を実装している.この乱数生成手法を用いたうえで小規模の Lenz-Ising モデルを実装し,正しい物理的な特性を再現できるかどうかを検討した.この結果として10x10素子程度のモデルを用いた場合には,十分に実現可能なことが判った反面,効率的には物理的な乱数生成デバイスを高速に駆動させてそこから乱数を拾ってくるほうが有効なのではないかということで引き続き調査を行うことになった. また,FPGAへの実装として現在は高位合成と呼ばれる手法を採用しているが,必要以上に論理素子を要求されることがわかっているため,これを回避するためにMCMC法の方を論理回路をもちいて実装できるように変形していくことが重要な課題であることがわかってきている.このためよりハードウェアよりの実装を行うことを予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の調査では基底関数をベースにしたスペクトル分解手法まで到達する予定であったが,FPGA上に高位合成を行ったさいに,想定以上の論理素子が必要となることが判明したため,これを解決するための方法の模索をおこなった.結果としては,規模の大きいFPGAボードの上で余裕をもって開発するという方針になったが,そのためやや遅れが生じている
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今後の研究の推進方策 |
あらたなFPGAボード Xilinx Spartan を計画前倒しで購入し,これの上にMCMC法モデルを構築する.さらに連続分布をいかにして論理的な離散分布に置き換えるかが重要であることが判明しているため,MCMC法の方の実装を変更していく予定である.
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