今年度は以下の研究成果が得られた. 1.マルチラベル識別問題に対する多目的ファジィ遺伝的機械学習手法の改良.マルチラベル識別問題の評価方法として複数の基準がある.それらの基準を全て考慮すると多数目的となり,通常の多目的進化計算アルゴリズムでは探索が困難である.この問題に対して,マルチタスク進化計算の枠組みを利用したアルゴリズムの開発を行った.研究成果をまとめ国際会議にて発表を行った. 2.多目的ファジィ遺伝的機械学習手法の識別性能の改善.多目的ファジィ遺伝的機械学習手法は,精度の最大化と複雑性の最小化を同時に行う手法であるが,アルゴリズムの構造上,複雑性の最小化にバイアスが掛かっており,高精度の識別器が獲得しにくいという問題点があった.この問題に対して,2段階探索手法として,最初に精度の最大化のみ単一目的最適化として行い,その後,多目的最適化に切り替える方法を提案した.研究成果をまとめ国際会議および国内会議にて発表を行った. 3.公平性尺度を考慮した多目的ファジィ遺伝的機械学習手法の開発.近年データに含まれるバイアスにより識別結果の公平性が問題となっている.識別結果の公平性を評価する尺度が複数提案されており,これらを考慮した多目的知識獲得手法の開発を行った.研究成果をまとめ国内会議にて発表を行った. 4.棄却オプションを導入したファジィ識別器設計および機械学習手法の改良.多くの識別器は,任意の入力に対して何らかのクラスを推論する.しかし,識別境界付近の入力に対して確信度が低い場合,それらは識別を棄却し,別途調査するなどすべきである.今年度は,棄却オプションを導入したファジィ識別器および機械学習手法の改良として,セカンドオピニオンを導入し,無駄な棄却を抑える方法を提案した.研究成果をまとめ国際会議および国内会議にて発表を行った.
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