研究課題/領域番号 |
19K12160
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
森山 賀文 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (10413866)
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研究分担者 |
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 進化計算 / 多目的最適化 / 量子ビット表現 / 多目的0-1ナップザック問題 / 組合せ最適化 |
研究実績の概要 |
量子風ビットを用いた多目的最適化可能な進化計算手法としてQuantum-inspired Multi-objective Evolutionary Algorithm(QMEA)が提案されているが,グループ数の調整が必要であり,パラメータ調整時間の増大およびパラメータ値による探索性能への影響が問題となる.初年度である平成31年度は,QMEAに対して,唯一の母集団での解探索を可能とする枠組みを導入した新たな多目的量子風進化計算手法QMEA based on Single Population(QMEA-SP)を提案した.提案手法は,唯一の母集団を用いて解探索を行うためグループ数の調整が不要であり,調整すべきパラメータは,遺伝子に用いる量子風ビットの確率振幅を更新する回転角度,1つのみである.また各個体が最良解(personal best)を導入することによりこれまでの探索で得られた解を適切に保持でき,さらに非優越ソートおよび混雑距離を指標とした最良解の更新を行うことで,多様な個体を用いた解探索が可能である. アイテム数を100,250,500とした2目的0-1ナップザック問題(2目的0-1KP)のベンチマーク問題を用いた評価実験の結果,従来手法QMEAよりも提案手法QMEA-SPの方が広範囲かつ精度の高い近似パレート解を探索することができた.さらにアイテム数を250,500,750とした2目的0-1KPのベンチマーク問題を用いた評価実験の結果,古典的遺伝子表現法を用いたFast Elitist Non-dominated Sorting Genetic Algorithm(NSGA-II)よりも量子風遺伝子表現法を用いた提案手法QMEA-SPの方が広範囲かつ精度の高い近似パレート解を探索することができた. これらの成果に関しては,国内学会において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2019年度)の目的は,グループ数の調整を不要とする多目的最適化が可能な新たな量子風進化計算アルゴリズムを検討し,多目的0-1KPを対象とした実験を通して提案手法の探索性能を明らかにすることであった. 初年度に提案した多目的量子風進化計算手法QMEA-SPを用いることで,2目的0-1KPを用いた評価実験において,古典的進化計算手法NSGA-IIおよび従来の量子風進化計算手法QMEAよりも,広範囲かつ精度の高い近似パレート解を探索できた.以上の成果を以って「おおむね順調に進展している」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2020年度)は,提案する量子風進化計算手法のロバスト性を明らかにすべく,初年度の実験で使用した以外の多目的組合せ最適化問題への適用を検討し,提案手法における対象問題の種類や規模に対するロバスト性を評価する. 上記成果に関しては,2020年度内に国内学会において発表する.また,2019年度から2020年度までの成果について,2020年度内に国際会議において発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額(B-A)」は,研究計画を誠実に遂行した結果生じたものであり,次年度において提案手法の検証に係る消耗品費として使用する計画である.
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