研究課題/領域番号 |
19K12166
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
片山 謙吾 岡山理科大学, 工学部, 教授 (80309541)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 組合せ最適化 / 局所探索 / メタ戦略 / 最大クリーク問題 / グラフ彩色問題 |
研究実績の概要 |
本研究は、組合せ最適化問題に対して良好な近似解を実用時間内に効率的に算出する近似解法、特にメタ戦略アルゴリズムの高性能化を目指している。近年におけるこの種のアルゴリズム研究は、多くのパラメータ設定を余儀なくされるなど、アルゴリズム自体が複雑化する傾向にあるため、パラメータ設定をできるだけ少なくした、よりシンプルなメタ戦略にもとづく近似解法の開発を基本とする。 LinとKernighan により示された可変深度探索のアイデアに基づく局所探索法は、反復局所探索などの代表的なメタ戦略アルゴリズムの枠組みへの導入を通して、高い探索性能を発揮することが知られている。他の組合せ最適化問題においては、一部の問題に対して可変深度探索法の有効性が示されているものの、それを導入したメタ戦略の探索性能は十分に明らかになっていない。
これまでに我々は、代表的な組合せ最適化問題である最大クリーク問題に対して、可変深度探索にもとづく局所探索法を開発し、反復局所探索法などへ導入したメタ戦略アルゴリズムの開発を進めてきた。近年、対象とする問題サイズは大規模化する傾向にあることから、本研究では、大規模なグラフを対象とした最大クリーク問題に対して、可変深度探索法にもとづくマルチスタート局所探索法を示した。ここでは、大規模なグラフの圧縮法を取り入れることにより、効率的な探索を実現した。加えて、最大クリーク問題に関連するグラフ問題として、グラフ彩色問題に対するアルゴリズムの高速化処理の洗練化を行った。提案する高速化処理は、広範なグラフ問題に対して適用可能な汎用的高速化処理であり、従来の高速化処理の性能を上回る高速性・有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表的な組合せ最適化問題である最大クリーク問題に対して、大規模問題に対しても適用可能となるよう、グラフの圧縮法を取り入れた可変深度探索法にもとづくマルチスタート局所探索法の開発を進めていると共に、可変深度探索にもとづく局所探索法を導入したメタ戦略アルゴリズムの洗練化・高性能化として、ハイパーヒューリスティックスへの拡張を行った。また、最大クリーク問題に関連するグラフ問題として、グラフ彩色問題に対する解構築法の高速化処理の洗練化を行い、従来の高速化処理の性能を上回る高速性・有効性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、大規模な最大クリーク問題に対するグラフ圧縮法や、グラフ彩色問題に対するアルゴリズムの高速化処理の検討を進めてきた。今後の研究として、最大クリーク問題を対象として、可変深度探索ベースの局所探索アルゴリズムを導入したハイパーヒューリスティックスにもとづくメタ戦略アルゴリズムに、上述のアイデアを導入することで、さらになる高性能化を試みる。その性能を評価するために、ベンチマーク問題例や他の従来法との比較を通して、提案法の有効性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、会議等への交通旅費の支出変更が生じた。次年度にて経費として使用予定である。
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